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かすとは仲良しだから
撮影も楽しくて テンションもあがって
なんだかあんまりじんたんと話せてない気がした。
かすが料理を作ってる時
少しじんたんの方を見たら
カメラを確認しながらちょっと俯いてて
ふわっと揺れる前髪に
伏せたまつ毛が綺麗で
思わず引き寄せてキスしたくなる。
__っと、今はかすが居るから我慢~
撮影が終わったら
今日もじんたんとイチャイチャしよー
そんなことをずっと考えながらも
かすとの撮影をすごく楽しんでた。
...でも、
じんたんの顔色が 段々悪くなってる気がする...
無理したら溜め込んじゃうし、
低血圧って言ってるけど、ほんとなのかな
心配しながらも撮影はおわって
機材を取りに行くと部屋を出ていくじんたんの後ろ姿を見送る。
かす「んー、じんくん大丈夫かな?」
テ「どうだろ...心配だけど」
俺の部屋から持ってきたジュースを飲みながらかすと駄弁っていると
体の向きを変えた拍子にグラスに手が当たって 床にジュースが広がる
テ「わ!やっちったー!」
かす「あーあーあーあー!w」
テ「タオル持ってくる!」
__っ!!!!
慌てて立ち上がったからか
足が絡まってまた転んでしまった
かす「__っゎ!!!」
かすの上に覆いかぶさる体制になって
__!び、びっくりした!!
テ「ご、ごめんかす!大丈夫!?」
かす「大丈夫!てか転びすぎw
ちょ、はよどいて!w」
ジュースの湿りと 立ち上がり辛い体制にもたついていると
___ガチャッ
リビングの扉があいて
目を大きく開いたじんたんと
バチッと目が合った。
....なんか...これはやばくない??
じんたんと目が合ったまま動けずにそのまま固まってしまった
じ「.....あー、...俺、邪魔だ?」
へらっと笑って
振り返って 走り出すじんたん
すぐに玄関が開く音が聞こえる
じんたん、出て行った。やばい。
やっと瞬間的に立ち上がった
かす「え?え?どうゆう状況!?なに、なんか誤解された!?」
急なじんたんの態度に焦るかす。
どうしようともたついてしまった俺。
テ「ごめん!かす、待ってて!」
焦るかすを部屋に残したまま
全力でじんたんの後を追って外に出た。
____俺の方が足速い。
大丈夫、すぐ追いつく。
あーーーなにやってんだ俺ーーーー
また
じんたんに悲しい顔させちゃってるじゃん
自分の不甲斐なさに嫌気が差しながらも
玄関を出てすぐ
じんたんの姿は見えなかったけど
とにかく左に向かって走った。
思ったよりもすぐにじんたんの背中が見える
テ「____!!
じんたん!!!!」
呼び止めても そりゃあ止まってくれるわけない。
じんたんも走るけど
だんだん距離は詰まって行って
少し走ってすぐにじんたんの腕を捕えた。
テ「__じんたん!待って!」
掴んだ瞬間
その腕はすぐに振り払われる
じ「__っ離せよ!!」
予想と外れていたのは
じんたんが
泣いていなかったこと。
...泣いてないけど
前と
俺と気持ちがすれ違ってた時と
同じ顔だ。
こんなの
泣いてるようなもんだ。
テ「じんたん!さっきのは事故でっ
俺が転んじゃっただけなんだ!」
一度捕まえてから立ち止まってくれたじんたんに 必死で伝える
じんたんが振り返って俺を見た
じ「...転んだかどうかなんて知らない
今日の撮影随分楽しそうだったもんね?
かすちゃんと居られて嬉しかったんだろ?」
テ「__っ楽しかったけど、それは関係ないじゃん!かすは友達だろ!?」
じ「あんなにベタベタしといて関係ない?
........恋人同士みたいだったよ?」
じんたんが
ぎゅっと拳に力を込める
じ「俺なんかよりも ずっと」
咄嗟に振り払われた腕をまた掴む。
テ「__...っ」
____そうか
今思い返してみれば
確かにいつもより かすと距離が近かった
楽しくてついっていうのもあるし
かすだから なんて甘い考えをしてた。
じんたんが一番気にしてる事を
俺がもっと気にさせちゃったんだ
テ「っ、ごめん じんたん
じんたんのことちゃんと見えてなくて...っ」
じ「__...うん。見えてない...見てないんだよね。」
俺から目を逸らさないまま
「だから俺のこと 抱けないんでしょ」
そう言うと同時に
表情を変えないまま 涙を流した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!