第28話

新しい生活4
3,204
2019/04/30 06:51

🐴

________











かすとは仲良しだから
撮影も楽しくて テンションもあがって

なんだかあんまりじんたんと話せてない気がした。



かすが料理を作ってる時
少しじんたんの方を見たら
カメラを確認しながらちょっと俯いてて

ふわっと揺れる前髪に
伏せたまつ毛が綺麗で

思わず引き寄せてキスしたくなる。



__っと、今はかすが居るから我慢~



撮影が終わったら
今日もじんたんとイチャイチャしよー






そんなことをずっと考えながらも
かすとの撮影をすごく楽しんでた。




...でも、
じんたんの顔色が 段々悪くなってる気がする...

無理したら溜め込んじゃうし、
低血圧って言ってるけど、ほんとなのかな





心配しながらも撮影はおわって

機材を取りに行くと部屋を出ていくじんたんの後ろ姿を見送る。




かす「んー、じんくん大丈夫かな?」


テ「どうだろ...心配だけど」



俺の部屋から持ってきたジュースを飲みながらかすと駄弁っていると

体の向きを変えた拍子にグラスに手が当たって 床にジュースが広がる

テ「わ!やっちったー!」

かす「あーあーあーあー!w」

テ「タオル持ってくる!」





__っ!!!!






慌てて立ち上がったからか
足が絡まってまた転んでしまった



かす「__っゎ!!!」



かすの上に覆いかぶさる体制になって








__!び、びっくりした!!






テ「ご、ごめんかす!大丈夫!?」

かす「大丈夫!てか転びすぎw
ちょ、はよどいて!w」







ジュースの湿りと 立ち上がり辛い体制にもたついていると





___ガチャッ





リビングの扉があいて






目を大きく開いたじんたんと


バチッと目が合った。








....なんか...これはやばくない??







じんたんと目が合ったまま動けずにそのまま固まってしまった









じ「.....あー、...俺、邪魔だ?」










へらっと笑って



振り返って 走り出すじんたん










すぐに玄関が開く音が聞こえる

じんたん、出て行った。やばい。











やっと瞬間的に立ち上がった





かす「え?え?どうゆう状況!?なに、なんか誤解された!?」




急なじんたんの態度に焦るかす。







どうしようともたついてしまった俺。









テ「ごめん!かす、待ってて!」








焦るかすを部屋に残したまま

全力でじんたんの後を追って外に出た。










____俺の方が足速い。
大丈夫、すぐ追いつく。












あーーーなにやってんだ俺ーーーー






また

じんたんに悲しい顔させちゃってるじゃん









自分の不甲斐なさに嫌気が差しながらも


玄関を出てすぐ

じんたんの姿は見えなかったけど

とにかく左に向かって走った。






思ったよりもすぐにじんたんの背中が見える











テ「____!!



じんたん!!!!」







呼び止めても そりゃあ止まってくれるわけない。

じんたんも走るけど
だんだん距離は詰まって行って

少し走ってすぐにじんたんの腕を捕えた。







テ「__じんたん!待って!」







掴んだ瞬間

その腕はすぐに振り払われる







じ「__っ離せよ!!」












予想と外れていたのは

じんたんが
泣いていなかったこと。








...泣いてないけど

前と
俺と気持ちがすれ違ってた時と

同じ顔だ。








こんなの
泣いてるようなもんだ。










テ「じんたん!さっきのは事故でっ
俺が転んじゃっただけなんだ!」







一度捕まえてから立ち止まってくれたじんたんに 必死で伝える









じんたんが振り返って俺を見た










じ「...転んだかどうかなんて知らない

今日の撮影随分楽しそうだったもんね?

かすちゃんと居られて嬉しかったんだろ?」







テ「__っ楽しかったけど、それは関係ないじゃん!かすは友達だろ!?」





じ「あんなにベタベタしといて関係ない?

........恋人同士みたいだったよ?」










じんたんが

ぎゅっと拳に力を込める











じ「俺なんかよりも ずっと」








咄嗟に振り払われた腕をまた掴む。




テ「__...っ」


____そうか

今思い返してみれば

確かにいつもより かすと距離が近かった

楽しくてついっていうのもあるし
かすだから なんて甘い考えをしてた。



じんたんが一番気にしてる事を

俺がもっと気にさせちゃったんだ





テ「っ、ごめん じんたん

じんたんのことちゃんと見えてなくて...っ」



じ「__...うん。見えてない...見てないんだよね。」





俺から目を逸らさないまま



「だから俺のこと 抱けないんでしょ」



そう言うと同時に

表情を変えないまま 涙を流した。

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