第13話

好き2
3,535
2019/04/14 15:15

🐴

________



じんたんと別れてスカイハウスに戻った。



何も出来ずに
ただ色んな感情が頭をぐるぐる掻き乱す。




今日はじんたんが退院する。
一旦みやの家に行って、あとで荷物をまとめに来る予定だ。



__なんだか

どうしようもなく じんたんに会いたかった。

じんたんに触れたかった。



「俺 じんたんのこと悲しませてばっかりだ...」


自己嫌悪と罪悪感に苛まれながら
重たい心を引きずっていた。



__ピコンッ



携帯が光る。

みやからだ。



【じんちゃん辛そうだから、代わりに俺が荷物取りに行くね~】


...じんたん、俺に会いたくないんだろうなあ。


了解 と返事をして
みやを待った。







__ガチャッ
「テオくーん、来たよー。」



玄関からみやの声がして
重たい身体を起こす。



み「...テオくん、なんて顔してんの」


みやが悲しそうに笑った


テ「...これ、じんたんの荷物」

事前にまとめておいた着替えや必需品などのじんたんの荷物をみやに差し出す。


み「ん。...」


荷物を受け取ったみやが 真っ直ぐこっちを見る。


テ「...なに?」


なんだろう


背中がぞわぞわするような 悪い予感








「テオくん 俺」







みやが小さく口を開く








「__じんちゃんとキスした」










______









テ「__...ぇ?」








急に頭に大きな石を落とされたみたいに
目の前が真っ白になる。


驚いて言葉を失ってみやを見ると
少し深呼吸して 言葉を続けた。




み「じんちゃんのこと 友達として大好きなんだ...決して恋愛じゃないけど、それでも じんちゃんのこと気の毒で...それと同時に 可愛くて。
テオくんのこと 忘れなきゃって泣くじんちゃんのこと、ほっとけなかった。だから」


みやがぐっと拳を握る


み「これからは俺が テオくんの代わりになる。」





____なにも言えない。



俺は また何も言えないのか。








一緒に居ることも

キスをすることも

俺には してやれなかったことだ



じんたんの発した気持ち悪いでしょって言葉すら
怖くて否定できなかったじゃんか。




それでも
驚く程心臓が痛かった。
押しつぶされそうな感覚だ...




抱きしめることだって
キスだって

俺がしてあげるのに

俺が

俺が








__あれ




俺、じんたんに キスできるのかな。





じんたんの潤んだ瞳に
あの柔らかそうな綺麗な唇

いつも可愛く俺の名前を呼んでくれた




『 テオくん!』




じんたんの声と笑顔が ふってくる。


__できるんだ、俺




できたんだな。





なんだ、じんたんのこと

とっくの昔から







好きだったんじゃないか。










離れて寂しいのも
触れたいなんて思うのも
こんなに愛しい気持ちになるのも

みやに嫉妬してしまうのも



好きだったからじゃん






男ってだけで

それだけで

自分の気持ちに気付けなかった。

そのせいで じんたんをたくさん傷付けた。



__遅すぎるかな




もう 間に合わないかな









....それでも


















テ「__好きだ」








微かに聞こえるほどの小さい声が漏れ出す










み「...テオくん?」



テ「みや、俺、じんたんが好きだ」


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