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その頃 スカイハウス
じんたんが早足であの場を去ってしまうのを、追いかけることが出来なかった。
スカイハウスに戻って
待っていてくれたかすに
ゆっくり説明する。
じんたんと恋人同士っていうこと。
じんたんが女の子に酷くコンプレックスを抱いてること。
おそらく俺とかすを見て出て行ってしまったんだということ。
さっきの言い合いで じんたんに言われた、じんたんのことを抱いていないということ。
話し始めから話し終わるまで
相槌と 軽い質問だけで とくに何も言わなかったかすが
置いたままだったジュースを一気に飲み干して ペットボトルを机に叩きつけた
かす「なにやってんだこの馬野郎!!!」
テ「...へっ?」
思わずまぬけな声を出す俺をキッと睨んで
体育座りしてたかすが立ち上がった。
かす「なんでじんくんと付き合ってわたしに言ってないの!?
ってかじんくんとそういう関係なのに撮影中あんなにわたしと距離近かったわけ!?じんくんが女の子にコンプレックスあるってわかってるくせに!?」
...最もなことばっかり言ってまくし立てられる。
テ「か、かす、落ち着いて...」
かす「そもそもなんでじんくん追いかけないで帰ってきたの!? じんくんが男だから テオくん余裕ぶってるのかもしれないけど、嫉妬とか不安に思う気持ちに男も女もないからね!?」
...たしかにそうだ。
それは俺が悪かったって思う。
考え無しに行動しちゃったのは間違いない...。
でも
テ「...俺だって
じんたんのこと大切にしたくて色々我慢してたのに、じんたんが男とか女とか関係ないのに、あんな言い方されて腹立っちゃって...」
バツが悪く下を向くと、更にかすが口を開く。
かす「好きな男が目の前で他の女とイチャついてたらそりゃ不安にもなるわ!馬鹿!」
...そりゃそうだ。
はーーーやっちゃったなあ俺ーーーー
かす「そもそも抱いてない理由もじんくんにちゃんと説明してないくせに一丁前にキレてんじゃないよ!今すぐじんくんのとこ行きな!!」
俺の腕をぐいっと引っ張って立ち上がらされた。
かす「んで仲直りしたら わたしも知らなかったとはいえ、見せつけるみたいになってごめんって伝えて」
悲しそうな顔で
申し訳なさそうにそう言った。
...じんたん、お前
愛されてるね。
じんたんのこと大好きなのは
俺だけじゃないみたいよ
いや俺が一番愛してるけど。
テ「...かすありがとなーーー目ぇ覚めたわ。追いかけてくる。」
俺に向かってニッと笑うかすに頭を下げて
もう一度 じんたんが去ってしまった場所へ走り出した。
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たぶんみやのとこかな...
全力で走って息切れを整えながら
さっきの場所で みやに電話をかける
【プルルルル プルルルル プルルルル】
____でない。
仕方ない。家まで行くか
みやの家を目指して
また全力で走った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!