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じんたんが気を失って
目を覚ますまで
俺は気が気じゃなかった。
じんたんを追い詰めたのは俺なんじゃないかな、こんなに苦しんでたじんたんに 何もしてやれなかった。
色んな後悔と悔しさが入り混じって
目を閉じたままのじんたんの手を握って
たくさん泣いた。
そしてじんたんが目を開けて
静かに怒りが込み上げた。
虚しさや 葛藤も。
「なんで俺に相談しねえの」
口に出したらまた泣けてきて、
こんなこと言う資格が 自分には無いんじゃないかと思った。
じんたんを傷付けたのは俺じゃないか。
大好きなじんたんに向き合わなかったのは
自分じゃないか。
じ「テオくんと一緒に暮らすの。やっぱり無理だよ」
その台詞を聞いて
俺は反論できなかった。
じんたんを追い詰めたのはのは俺だし
じんたんに応えてやることもできない。
...
テ「....。」
でも
じんたんと離れるなんて嫌だ
おはようやおやすみや
当たり前の挨拶が出来なくなるなんて
じんたんの可愛い寝顔を独り占めできなくなるなんて
あの太陽みたいな笑顔が
俺の毎日から消えてしまうなんて
テ「...__わかった」
でも
こう言うしかなかった。
だって
俺がじんたんのこと そういうふうに見れてて、好きだと言えていたなら
じんたんはこんなに苦しまなくて済んだんだ。
テ「...じんたん、ごめんな。」
じんたんは 少し疲れたように笑った
じ「テオくん、謝るのは俺の方だよ」
じんたんが
俺の目を真っ直ぐ見つめる
じ「俺、明日退院したら 荷物まとめて、しばらくみやの家にでも泊めてもらうよ。
....テオくん、ずっと、ごめんね。
好きになって
ごめんね
気持ち悪かったでしょ。」
じんたんが
力なく ふふって笑う。
気持ち悪いもんか。
戸惑ったけど、応えられなかったけど、
全然嫌だなんて思わなかった。
むしろ大好きな相方にそんなふうに見てもらえて 今では 少し嬉しかったんじゃないかなって思う。
けど
今更こんなこと言っても
こんなに痩せ細って疲れきったじんたんには 届かない。
応えてやれないんだから
言わない方がいい。
俺は 少し俯いたまま黙り込んだ。
じ「いっぱいありがとう。
撮影はちゃんと今まで通りやるからね。
心配かけてごめんね。...ごめんね」
じんたん
そんなに謝らないで
そんなに
辛そうにしないで
じんたん
行かないで。
ねえ、、、
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。