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「大丈夫」
無理して笑ってることなんて見え見えだった。
でも、震えながらでも笑ってくれたことに
少し安堵してしまった。
あの夜、じんたんの泣き声を聞きながらずっと眠れなくて、じんたんが泣き疲れて眠ってしまったのをこっそり確認してからも 俺はずっとずっと考えた。
じんたんの気持ちを知ってしまって
これからどうしたらいいんだろう。
じんたんに どう接していけばいいんだろう。
悩んで悩み抜いて、「ゆっくりして」とじんたんにできるだけ優しい言葉をかけることと
じんたんから話してくるまで
告白の話しには触れないようにしようと決めた。
俺が居たら気を使うだろうなと思って
できるだけ素早く準備を済ませ
珍しく いってきますも言わないまま
スカイハウスを出る
本当は今日予定なんてなかった。
スカイハウスで じんたんと編集を進めようと思っていたから。
突然の夜に行き場をなくして
心が戸惑っていた俺は 迷わずみやのところへ向かった。
み「.....それで?」
みやの家に招き入れてもらい、明らかに沈んでいる俺にみやが問いかける
み「テオくんはどうしたいわけ?」
一部始終をみやに話した今
優しい声色で聞いてくれている
テ「...俺は...」
__俺は どうしたいんだろう
み「...俺ね、じんたんがテオくんのこと好きだって 知ってたよ」
押し黙ってしまった俺を見つめたまま
みやがゆっくり言った
み「知ってたっていうより、気付いた...かな」
テ「...気付いた?」
み「うん。じんたんがテオくんのこと見てるとき やっぱりなんか特別だよ。ただの親友とかそんなんじゃない 大切な人を見る目。」
テ「........そっか」
み「テオくんの恋愛対象が女の子なのはもちろんわかってる。テオくんは、この先じんたんとどうなりたいの?」
テ「....スカイピースを 続けたい。
じんたんは大事な親友だ。...一緒に居たい...」
じんたんと離れようなんて思わない。
俺にとって、親友で 家族みたいな存在だ。
じんたんの笑顔を失うのは すごく辛い
笑い声も ふわふわな髪も
かわいい口元もまんまるな瞳も
毎日当たり前に傍で見てたんだ。
み「それなら 話し合うしかないよ」
テ「わかってる。でも...でもなんて言ってやればいいんだよ...」
み「テオくんがじんたんのことそういうふうに見れないなら、正直に向かい合って ちゃんとそれを伝えなきゃ」
がんばれ と
みやが俺の背中を押した。
テ「....うん。
みや、ありがとう。」
その日は夜までみやの家で
持ち出したパソコンで少しの編集を終わらせて
重い足取りでスカイハウスへ歩いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。