ジンside
とうとう来たんだ。
僕達はその部屋の前でずっと立ち止まっていたが、
僕を先頭に中に入った。
……ッ…!
…なに…この臭いッ…
変な……においだ。
生ゴミのような……。
僕達は手を口元に覆い、ゆっくり前に進んだ。
……何か…嗚咽が聞こえる…
…ジョ…ジョングクなのか…?
…そして、ドアの前まで来た。
このドアを開ければ、ジョングクがいる。
僕はドアノブに手をかけた。
…開けれない。
…怖い。
本当に…許してくれるのだろうか。
こんな…僕を…、
…遅く…なって…ごめん、
ホソガが僕の肩に手を置いた。
…行かなきゃ。
…僕はぎゅ、とホソガの手を握ると、ゆっくりとドアを開けた。
・
・
・
信じられなかった。
檻があって……窓が…ない。
・
そして……
…目の前に…目の前にいる。
体操座りをして…震えているジョングクがいる……のに。
…ジョングクじゃ…ない。
…僕は一瞬心臓が止まった。
…もうあの時のジョングクじゃない。
…痩せ細って…服も……あの時のまんまじゃないか……
お風呂……一度も入っていない…?
…嘘だろ…
僕の目からは知らないうちに涙が出てきていて、
心のの整理もつかなくて、その場に立ち竦んでいた。
でも、少しずつ、ジョングクの元へ歩いた。
そして、触れようとした時、
______ビクッ
ジョングクが僕を拒むように震えた。
ショックだった。
悲しかった。
やはり、僕は許されないのだと。
…けど、仕方ないのかもしれない。
…今のジョングクには、恐怖と、不安しかない。
今、目の前にいる僕たちはジョングクにとって
「恐怖」にしか、見えないんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。