第17話

00's(× Haechan)
21,238
2023/03/16 16:10
Happy White Day !!!
(お察しではあると思いますが、タチが三人いるのでそれなりの文字数です(泣)ちょっとばかりジェミン贔屓してます……。久しぶりすぎる第三者目線なので文章下手くそです。)








言い出したのは一体誰だったか。

確か、ジェノ?

いや、あながち全員が同じことを考えていたのかもしれない。

イベントというのは、人間の頭を馬鹿にさせてしまうものだ。

それが良くとも、悪くとも。




・・・

テーブルに広がる空き缶たち。食べ残されたチキンやピザは遠の昔に冷めきっていて、並べられた四つの皿にはこれでもかとチキンの骨が積まれている。

アルコールの匂いが充満した部屋で、程よく酒に火照った三人は真っ白な紙袋をヘチャンに突き出しているところだった。



HC「…………え、何?嫌な予感しかしないんだけど」

JN「そんなこと言っていいの?」

RJ「へチャニにバレンタインのお返ししようと思ってたんだけど」

HC「…………………感動した、」



お前ら絶対何もしてくれないと思ってたから。

言いながら口元を両手で覆ったヘチャンは、驚きに目を見開かせながらジェミンを見遣った。

そんなヘチャンに、ジェミンが憐れみの笑顔を向ける。お前は勘違いしてるんだよ、という意味を込めて。

かく言うジェミンもこの状況を楽しんでいるのだから、ジェノやロンジュンとさして変わらないのだろうけれど。

明日になって、ヘチャンが拗ねたように口を聞いてくれなくなるのを想像したジェミンは、バレない程度に頬を緩めた。





一人暮らしを始めたジェノの家に四人。

ツアーが一段落したところで、コンゴンズでお疲れ様会をしよう、と呼び掛けたのはロンジュンだった。

招集の本当の意味を知りもしないヘチャンは、三人の企みに気付くことなく二つ返事で、それはもう嬉しそうに承諾したのだ。

とは言え、四人交際という未曾有の恋愛をしているのだから、四人で集まればあれこれするのではないか、と勘づいていたヘチャンが、何の用意もなしにジェノの自宅へ出向くはずもない。

水圧の強いシャワーヘッドで秘部を洗い流し、自分の指が三本入る程度。漏れ出ない量のローションを内壁に馴染ませるのに一時間近く時間を要した。

受け入れる側はいつだって相手よりも負担が大きいのだ。



JM「疲れ切ってるね」

HC「お前らの相手してやんないといけないから」



やって来て早々、無愛想な返しをするヘチャンにジェミンは頬を緩ませる。

どうせ、ただの照れ隠しなのだろう。柔らかい黒髪から覗く耳が真っ赤に染っていた。



そもそもどうして、こんなにも破天荒な恋愛が始まったかと言えば、それはもう単純なることだった。

三人とも、ヘチャンが好きだったのだ。

最初こそ、ヘチャンを取り合ったり(勿論本人にバレたくはないのであからさまなことはしないが)、牽制し合ったりしていたものの、最終的には“面倒くさい”の一言で治まってしまった。

恋愛的にヘチャンに思いを寄せているとはいえ、三人が互いのことも同様に好いているということに変わりはない。

勿論それは友人として、の意味だが。

ロンジュンが一言、「もうダルくね?」と眉を寄せながら告げたのを合図に、彼らの冷戦は終わりを迎えた。

争い嫌いの三人が集まればこうなってしまうのだ。

三人から同時に思いを告げられたヘチャンは、それはもう困惑していたけれど。



JN「はい、これ」

HC「………ほんとに?」

JM「はは、なんでそんなに疑い深くなってるの」

HC「だってなんか………ジェノが悪い顔してる、」



何も言わずして、ロンジュンが音を立ててジェノの背を叩いた。

あ゙、と声を上げながら蹲ってしまったジェノを尻目に、ヘチャンは期待に目を輝かせながらテーブルに広がる空き缶たちを両腕で雑に退かす。



JM「ヤー、そうしたら零れるでしょ」

RJ「そんなに嬉しいの?ヘチャナ」



プレゼントを貰えたことへの嬉しさのせいで、調子に乗ってしまったヘチャン嘆息しながら。ジェミンはなぎ倒された缶を立てつつ、大方の片付けをしていく。

後から片付けをしようとして、そんな気が湧かなくなるのは分かりきったことである。

ありがとジェミナ、と調子よく笑ったヘチャンに軽く相槌を打って、ジェミンは目を逸らした。

ジェミンの本音としては、こんなに嬉しそうにしているヘチャンの表情が絶望の色に染まってしまうのを見てはいられないのだ。

ジェノやロンジュンは楽しそうに見詰めているが。そんなサドな趣味を、ジェミンは持ち合わせてはいなかった。

紙袋から取り出したピンク色のリボンを纏った白い箱。ヘチャンが鼻歌交じりにリボンを解く。

ごくり、と。ジェノかロンジュンか。いや、ジェミンだろうか。喉を鳴らす音が聞こえた。

ヘチャンが蓋を開けると同時に、ジェミンは咄嗟に目を瞑る。



HC「…………………ぉ、」



ヘチャンの掠れた声が三人の鼓膜を揺らした。

ジェノの可愛らしい笑い声も、今は悪魔の声にしか聞こえない。

ゴミを纏める手を止めたジェミンが、恐る恐る顔をあげれば、その光景は彼の思っていた通り。

下がった眉と、困惑したままに開かれた唇。

ゆらり、と三人の顔を見遣ったヘチャンの表情に耐えきれず、ジェミンは自分よりも柔らかいその身体を抱き締めた。



JN「……あれ、ヘチャナ、嬉しくないの?」

HC「…………………なにこれ、」

JM「俺も流石に胸が痛んだよ、ヘチャナ」

RJ「おい、反対しなかったお前も同罪だからな」



言いながら、四人一緒に見下ろす先には男性器を模した棒のついたチョコレート。

何度見ても、見慣れることのない悪趣味なソレ。

これなんてどう?と言ってウキウキした様子でジェノが翳した携帯画面に「こんなものまであるのか」と無駄な感心をしてしまったのを思い出す。

呆然としていたヘチャンが、ゆっくりとした動きで三人の顔を見回した。

まるで信じられないと言った顔だ。



HC「……………胸が痛んだって?」

JM「あー………ごめん、」



胸が痛んだのは本当なのだけれど。

そう言おうとしたところで、ジェミンは口を噤んだ。

言ったところで今のヘチャンには通用しないだろう。

彼らのやらんとすることを分かってしまったヘチャンは肩を抱くジェミンの身体を押し退けて、逃げるように部屋の隅へと縮こまった。

その三白眼で睨みを効かせられてしまえば少しは戦いてしまうものの、今日に限っては可愛いと思ってしまうのも仕方がない。

風呂上がりのふわふわな黒髪、酒で火照った頬、羞恥や怒りで若干ではあるが潤んだ瞳。

胡座をかいていたジェノがゆったりとした動きで立ち上がる。

更に身体を萎縮させてしまったヘチャンに、ジェノはにたりと笑った。



HC「おい…………まじで来るな!」

JN「なんで?」

RJ「見てジェミナ、ジェノの目ぎらぎらしてる」

HC「ほんとにやめろ!ジェミナ!助けて!!」

JM「………ごめん、ヘチャナ」



ここぞとばかりにジェミンを頼ろうとするヘチャンに、ジェミンは小さく謝った。

ジェノに片腕を掴まれながら半泣きで「裏切り者!」と叫ぶヘチャンだけれど、別に何かを約束していたわけではない上、そもそもジェミンはこちら側の人間である。

少しの罪悪感と、残った思考の全てを占める興奮。

ジェミン自身、情事に関しては自分が一番真面だと自負してはいるが、残念ながらここに、ヘチャンへの救いの手は存在しない。

じたばたと抵抗を試みて暴れ回るヘチャンを易々と担ぎあげたジェノは「先行ってるね〜」と寝室へ消えていってしまった。



JM「なーに、ロンジュナ」

RJ「別に」

JM「何も無いことなさそうだけど」



残されてしまったリビングで、ロンジュンがジェミンを睨みつけた。

何か言いたげなロンジュンの表情に、ジェミンは小さく首を傾げる。何しろ、睨まれる理由に思い当たることがないのだ。



RJ「一昨日、ヘチャナとヤっただろ」

JM「あー…一昨日だっけ、うん、まあね」

RJ「最近のあいつ、ジェミナのことばっかり優先するんだけど」



恨めしそうに顔を顰めるロンジュンが言うことには、ヘチャンが自分よりもジェミンを優先することが気に食わない。

一昨日とて、先に約束を取り付けていたのはロンジュンだったと言うのに、その日になってヘチャンから言われたのは「ジェミニから誘われたからロンジュナはまた今度!」であった。

あの時のヘチャンの笑顔と言えば、それはもう、ロンジュンが誘う時の何倍も嬉しそうな表情だったのだ。



JM「えぇ〜?ちょっとジェラシー?」

RJ「いつも冷たくあしらってんだからずっとそうしてろよ」

JM「それとこれとは話が別でしょ。ロンジュナだって普段は雑な扱いしかしないくせに」



悔しそうに口を噤むロンジュンに、ジェミンは口角を上げる。

ロンジュンより自分が優越しているということ知って、ジェミンは口元がにやけてしまうのを耐えることはできなかった。

ヘチャンの扱いがぞんざいである、と言われることも多いけれど、実際のところはそうでもない。

彼を前にすればジェノもロンジュンも、それから「ヘチャンとは気が合わない」と豪語するジェミンまでもが余裕をなくしてしまうし、ヘチャン一人のために必死になってしまうのだ。

それ程に、ヘチャンには人を惹きつけてしまう何かしらが内在しているらしい。



JM「人たらしだからね〜」

RJ「ほんとにお前……」



不貞腐れるロンジュンを差し置いて、ジェミンはこれから始まるコトに期待を膨らませながら部屋を後にした。勿論、チョコレートを片手に。




・・・

HC「ジェノヤ、お前まじで趣味悪いよ」

JN「なんとでも言いな〜」



やって来た寝室のベッドの上には、押し倒されたヘチャンの姿。

もう抵抗は叶わないと悟っているのか、されるがままになりながらもジェノを睨む目付きは鋭い。

そんなヘチャンの視線を意にも介さぬジェノは可愛らしい笑みを浮かべるだけだ。

ここではその天使のような笑みもヘチャンからするなら狂気じみて見えるのだろうけれど。



JN「ジェミナ、へチャニ捕まえてて」

JM「はいはい、」

HC「ねぇ、嫌だ、ジェミナ」

RJ「嘘つけ、お前だって興奮してるでしょ」



気怠げではあるが、言われた通りに動くジェミンは、ヘチャンの背後へと回り、胸に凭れさせるようにして背とシーツの間に滑り込んだ。

羽交い締めにされたヘチャンが不安げにジェミンを見上げるけれど、ヘチャンが身体を密着させることを好いているのは三人共々よく知っている。

ちゃんと準備してきたの?とフローリングに座り込みながらベッドへ肘を着いたロンジュンが問いかけると、恥ずかしそうに顔を俯かせては小さく頷いた。



RJ「あはは、可愛い」

JN「へチャニ、服脱ごう」

HC「待って、電気」

JN「消さない」



ばっさりと切り捨てられてしまったヘチャンの要望。

拗ねるようにして少しばかり尖った唇を、ジェミンは自分の方へと寄せ、キスを落とした。

唇を離して至近距離で見詰めれば、ふわふわの黒髪の下で上目遣いに彼を見る。

腹に回ったジェミンの手に自分の手を軽く添えて、二度目のキスをせがむようにして顔を近づけた。

どうして、こんなに可愛いのだろう。

悪戯好きで煩くてうっとおしい。

ヘチャンの気に食わないところなんてどれだけでも挙げられると言うのに、それすらも構わない、と思ってしまう程にヘチャンは素直で可愛い。

家では長男なのだからしっかりしているのかと思えば、長男だからこそ、恋人たちには甘えたがるのだ。

自分では隠しているつもりなのだろうけれど。



HC「ジェミナ、」

JM「うん」

HC「ん…っ、ぁ……んぅ……は、」



てきぱきとスウェットを脱がせていくジェノとロンジュンもお構い無しに、二人はキスに夢中になる。

唇を重ねて、舌で軽く舐めれば直ぐに開いてしまう唇。

アルコールのせいで少しばかり熱くなってしまった口内へ舌を滑り込ませて、ヘチャンの舌を絡めとった。

舌先を音を立てて吸い上げると、ぎゅう、と握り締められる両手。ヘチャンの口から漏れる小さな喘ぎが甘ったるい。



HC「っあ…!」

JN「ふふ、興奮してるの?」



ねっとりと唾液を交換し合っていれば、びくりと揺れたヘチャンの身体。

離れていってしまった唇に、ジェミンは少しばかり寂しく思いながら顔を上げる。
ジェノの親指が兆したヘチャンの亀頭を緩く擦っている。

甘い声を漏らすヘチャンは既に一糸纏わぬ姿となっていて、ジェノの指が動く度に腰を揺らしながら歯を食いしばり、後頭部を擦り付けるようにジェミンの胸元へ頭を寄せた。



JN「ふふ、可愛いね、へチャニ」

RJ「はい、ヘチャナこれ咥えて」

HC「っ、ゃ……ん、ぐっ…!」



ベッド横で黙々とチョコレートの包装紙を剥がしていたロンジュンが躊躇も無しにヘチャンの口元へとチョコレートを突っ込んだ。

男性器を模したソレを咥えこまされるヘチャンの姿は、あまりに淫靡だった。

容赦なく喉奥を突くロンジュンの手つきに、ヘチャンは嘔吐きつつも、抵抗する術は持ち合わせていないので、仕方なしに行為に応える。

恋人たちの陰茎よりかは小さいにしても、精巧に作られたソレはヘチャンの口内を一杯に満たし、ヘチャンは頬を膨らませたまま苦しそうにしゃぶった。

そんな姿を見て満足気に笑うロンジュンを見て、到底理解できない、とジェミンは眉を寄せるが、やはりヘチャンの卑猥な姿を見せつけられるのならば身体が反応してしまうのは至極当然のことだった。



HC「ん゙っ……む、っぐ…ん゙ん゙〜〜っ…!」

RJ「ほら、いつもしてるみたいに舐めないと」

JN「もっと美味しそうに食べて」



性器擬きのチョコレートを喉奥に咥えながら、キッと二人を睨みつける。

苦しさに涙目になり、羞恥で赤く染まった表情で睨まれたところで、それは彼らの加虐心を煽ることになるだけだが。

案の定、ジェノとロンジュンが二人して可愛らしく首を傾げるのだから、悔しそうに足をばたつかせたヘチャンは縋るみたいにジェミンの手を両手で強く握り締めた。

ジェミンとて、助けてあげたいのは山々であるが、こうして素直に甘えてくるのも、更に言えば、ジェノやロンジュンを差し置いて自分へと寄り縋ってくるのも、己の征服欲を満たすには十分過ぎるのだ。

この優越感にもう暫く浸っているのも悪くないとさえ、思ってしまう。



RJ「ヘチャナ、俺たちにしてくれるのはそんなんじゃないでしょ」

HC「ん゙っ……!ぐ、ぅ……っ、ゔ、」



溶けたチョコレートのせいで濁った唾液が、抜き差しされる度にヘチャンの唇から溢れ出て、身体を汚していく。

ロンジュンに言われるがまま、フェラをするかのような舌付きでねっとりと裏筋部分を舐め上げたヘチャンにロンジュンが満足気に笑った。



JN「ふふ、舐めながら興奮してる」

HC「っ〜〜゙…んん゙…っふ、ん゙…っ゙…、」



人知れず、揺れ始めたヘチャンの腰にいち早く気が付いたのはジェノだ。

暴れ回る両足を強引に押さえ付け、溢れる先走りを塗り込むようにして亀頭を擦れば、反り返る腰と引き攣れる嬌声。

ジェミンの胸元へ突進する勢いで身体を突っ張らせたヘチャンは、口内を刺激するチョコレートから逃げようと首を回すけれど、執拗く追いかけてくるロンジュンの手はその苦しさから解放させてはくれない。



RJ「なんで嫌がるの」

JN「へチャニは口の中敏感だからね」

HC「ぅ゙…っんぐ、ぅ…っ゙、ぉ゙………、」

JM「ちゃんと息できてるの?」

HC「ん゙…っ、ぅ……んぅ、ふ、」

JM「あはは、可愛い」



苦しさに身を捩るヘチャンの頭をジェミンが緩く撫でれば、すり、と擦り寄ってくるのだから愛おしい。

普段、互いに甘えあったりスキンシップを取り合うことが他の二人よりも少ないからこそ、ヘチャンはジェミンに甘やかされるのに耐性がないのだ。

気持ちいい?と小さく尋ねれば、力無く首を振ったのでそろそろ限界なのだろう。

こんな時のヘチャンは、普段とは打って代わり、とてつもなく素直だ。



JM「ロンジュナ、その辺にしてあげて」

RJ「えー……」

JN「こんな時にばっかりジェミナに甘えて」

JM「その分普段は二人が沢山甘やかしてるでしょ」



文句を垂れる二人を宥めながら、ジェミンは身動いだせいでずり落ちてしまったヘチャンの身体を抱き直した。

そもそも、ジェノとロンジュンに関しては激しすぎるのが悪いのではないか。

二人きりでの情事中はとびきりに優しいのに、二人合わさると途端に意地悪になる。

言って、拗ねたように唇を尖らせていたヘチャンの姿を思い出す。

セックスだけはジェミンとのが一番好き。と照れ臭そうに言ったヘチャンに、絶対にヘチャンの身体は大事に扱ってやる、と誓ったのはもう随分と昔のことだ。

不服そうな表情を浮かべながら、口内からそっとチョコレートを抜き取ったロンジュンに、ヘチャンが小さく息を吐いた。

チョコレート色に濁った唾液が口とチョコレートの間に橋をかけるけれど、それも直ぐに切れ落ちてしまう。

激しく抽挿を繰り返されたせいで、口元は飲み込みきれずに溢れ出た唾液や溶けたチョコレートでべとべとに汚れている。

溶けてしまったせいで一回りほど小さくなってしまったソレは、ヘチャンの唾液でねっとりと濡れていて、てらてらと部屋の明かりが反射していた。



JN「大丈夫?」

HC「っけほ……くるし、」

RJ「あはは、ごめんねへチャナ」

HC「ん……、」



眉を下げながら笑ったロンジュンが優しく頭を撫でつけると、嬉しそうに目を細める。

普段の彼とは似ても似つかない素直な姿に笑みを零してしまうのも、最早毎度のことだ。

口を開けば人の揚げ足をとることしかしない憎たらしいヘチャンはどこへやら。これが俗に言うギャップ萌えというやつなのだろうか。

そうだとするのならば、これ以上に可愛いギャップを持ち合わせている子はヘチャンの他に誰一人とていないだろう。



JN「これ美味しかったの?」

HC「……あまい、」



ロンジュンの手元に握られていたチョコレートを取り上げたジェノが、目を丸くしながら不思議そうにソレを見詰める。

その姿は宛ら犬のようだった。

舌足らずなヘチャンの声に「へ〜……」と小さく相槌を打ったジェノは、少しだけ迷った素振りを見せた後でチョコレートの先端をぺろりと舐めた。

陰茎でいう尿道の部分。

自分の陰茎が舐められるのを想像したのか、きゅっ、とヘチャンの太腿が内側へ擦り寄る。



JN「うん……甘いね」

HC「……ぅ…ジェノ、」

JN「んー?」

HC「ん、」



ジェノの名前を呼んだヘチャンが、何も言わずしてぽってりとした可愛い唇を突き出した。

上目遣いに、まるでキスして、とでも言いたげな表情で。

堪えきれない笑みをそのままにジェノが優しくヘチャンに口付ける。

ジェミンの手をずっと握っていたヘチャンの両手が徐に解かれて、ジェノの首へと回った。

必死に首を傾けて、ジェノに負けずと舌を伸ばす。

歯列をなぞり、上顎を擽れば、鼻から抜ける嬌声がジェノの興奮を刺激した。

舌を甘噛みすると、首に回る腕にぎゅう、と力が入るのが愛おしい。



JN「ん…、ふふ、可愛い」

HC「んぅ…は、ぁ…っん、ん、」

RJ「俺、まだへチャニとキスしてない」

JM「じゃあ俺とする?」

RJ「まじで嫌」



ヘチャンとジェノが熱い接吻を交わす隣で、ロンジュンが拗ねたようにそっぽを向く。

そんな彼に笑みを零したジェミンが、首裏に手を伸ばせば、ばしり、と叩き落とされてしまった。

お前とキスしたって気持ちよくねぇよ、と口悪く言うロンジュンに肩を竦める。

一昨日のことを未だに根に持っているのだろうか。今日は随分と当たりが強い。



RJ「ジェノヤ、交代」

JN「ぅわ…………あー、もう」



とうとう我慢ならなくなったロンジュンが半ば突き飛ばすようにしてジェノの身体を押しやった。

片足をベッドに乗り上げてヘチャンの唇を奪う。

休憩もなしに口付けを求められ、苦しそうに口を開くヘチャンがもどかしげに足でシーツを掻いた。

息苦しい、それなのに気持ちがいい。

息苦しさと快感によって溢れた涙がこめかみを伝っていくのを感じる。

じわじわと身体の奥底から湧き上がる快感に、もどかしく腰が揺れた。



JM「ヘチャナ、身体触ってもいい?」

HC「っぁ…は、ぅ…っん、ぅん…」



耳元に顔を近づけ、小さく囁かれれば、擽ったさに肩を竦めながら小さく頷く。

ぞわり、と背筋を走った快感に近い何か。くん、と腰が浮いた。

腹に回されていたジェミンの手が上へ上へと這わせて、乳輪をくるりとなぞった。

触られすぎたせいで他人より膨らんだ胸を揉むようして押し込まれると快感に反り返る胸。

まるで、もっともっと、と願っているようで、それを見詰めるジェノとジェミンは、むくむくと興奮が湧き上がるのを感じる。

ジェミンの愛撫のおかげで、遂に口から漏れ始めた嬌声。快感に力が抜けてしまったせいで、苦しさから逃げ回っていた舌も誘われるようにロンジュンに身を委ねた。

籠った嬌声が鼻から抜けて、その可愛らしい声にロンジュンが口角を上げる。

退屈になってしまったジェノは、ヘチャンの柔らかい太腿を揉みしだいて暇を弄ぶ。

それを横目に、突き出される胸に応えるようジェミンが乳頭を摘み上げれば、びく、と揺れる腰。一際大きく響いた嬌声が部屋に木霊した。



HC「あっ…んぁ…!や…じぇみな…っ、それ、や…ぁ」

JM「嫌なの?触って欲しかったんじゃなかったの?」

HC「やだ…っあ、ぅ、んっ、〜〜〜っ、」

RJ「あ……、もうキスはしないの?」



快感に反った身体のせいでロンジュンの舌を取り逃してしまったヘチャンはロンジュンの身体を自分の元へと引き寄せ、肩口に顔を埋めて額を擦り付けた。

反対は任せて、とロンジュンが持ってきていたローションを片手にジェノが笑う。

ロンジュナ邪魔、と先程の仕打ちを仕返すようにヘチャンからロンジュンを引き剥がした。

縋っていたロンジュンの身体がなくなって手持ち無沙汰になってしまったヘチャンが寂しげに両手指を動かすけれど、今のジェノはそんなことすらも気にしてはいられない。

多すぎる程のローションを上半身へとぶちまけ、冷たさに肌を粟立たせるヘチャンをお構い無しに塗りたくっていく。

擽ったさ、気持ち悪さ、それから焦れったい快感に身を捩るヘチャンから視線を外すことなく、ローションを掬い乳頭へと塗り込んだ。



HC「ぅあ…っ、く、ぅ……は、んぁ…っ、」

JN「気持ちいい?」

HC「ぁぁ…っ、や、!…っあ、ああっ!」

JN「……ん?なに、」

JM「あ、ロンジュナ、抜け駆けするつもり?」



突如、悲鳴のように上がった嬌声に瞠目したジェノが顔を上げる。

身体を離して、見えた先には指にローションを纏い、秘部へと塗り込むロンジュンの姿。

内股になっていくヘチャンの片足をシーツに固定し、つぷり、と人差し指をナカへ突き立てていた。



RJ「いや、せっかくならこれも試してみようかと」



言いながら、ロンジュンが翳したのは先程までヘチャンが咥えていたチョコレート。

ロンジュンの言わんとしたことを瞬時に理解したヘチャンが後退るように足を動かすけれど、如何せん、片足をロンジュンに掴まれているせいでそれも叶わない。

あ〜……、と納得したように頷いて悪い笑みを浮かべたジェノに、ヘチャンが恐怖と不安に喉を引き攣らせた。



HC「ぃや…っ、やだやだ…っあ、じぇみな、!ぁ、んああ、!」

JM「んー?」

JN「ジェミナは助けてくれないよ〜」

RJ「しっかり解せてるじゃん、もう指三本入ったよ」

HC「んぅぅ〜……っひ、あ、ああ…っん、!」



ジェミンの顔を見上げて、強請るように必死で首を振る。

ジェノが諭すように首を振っているのを尻目に、ロンジュンは秘部に飲み込まれた三本をバラバラに動かした。

既に家で準備を終わらせているヘチャンのナカは、しっかりと解されていて、直し要らずの状態だ。

ローションを塗り込むような手つきで掻き回せば、ぎゅうぎゅうと絡み付く粘膜。まるで離したくない、と言うように蠢くナカにロンジュンは楽しそうに笑う。

普段は身を潜めている前立腺も存在を主張するように膨らんでいて、前立腺を掠める度にびくびくと足を震わせて、腰が揺れる。

とは言え、腰を大きく反らそうにも、足も上半身もロンジュンやジェミンに固定されているせいで上手くはいかない。

逃すことのできない快感。けれど、射精してしまえるような決定的な快感ではない。

気持ちよさと焦れったさを制御できないヘチャンは、そのもどかしさに涙する。

唯一自由の効く両手は迷うように少しの間宙を彷徨った後で、鍛えられたジェノの腕を握りこんだ。



RJ「ん、これくらいならもう入りそう」

HC「んう…っ、やだ、ぁ、ああ、んっ…、」

JN「へチャニは我儘だね」



嫌だ嫌だと泣くヘチャンを宥めようと、ジェノが優しく唇を寄せる。

切ない声を漏らしながら、うわ言のように拒絶の言葉を漏らすヘチャンに、ジェミンは少しばかり罪悪感が湧き上がった。

だからと言って、ここまで来て辞める気は更々ないのだけれど。



JM「へチャニ、嫌なら目瞑ってな」

JN「大丈夫だよヘチャナ、俺たちのより小さい」

HC「そうゆ…っ、もんだいじゃな、いっ…、」



的外れなジェノの言葉に泣きながらも呆れた視線を寄越したヘチャンの頭をジェミンが撫でる。

嫌だと言いながらも、まだ一度も精を放っていない身体は限界を迎えているのだろう。

反り勃つ陰茎がふるふると震えていて、期待に先走りを零していた。

入れるよ、とロンジュンが言ったのを合図に、ぬぷぬぷと埋め込まれていくチョコレート。

ぎゅう、と力一杯に目を瞑ったヘチャンがジェミンの胸に頬を擦り寄せるように横を向く。

食いしばった歯の隙間から漏れ出る熱い吐息が肌を蒸らして興奮を煽った。



HC「は、んん、〜〜〜っ……ぁ、ああ、んぅ、」

JN「気持ちよさそ、」



楽しそうに口角を上げているロンジュンはチョコレートを纏っていない棒の部分を持って、チョコレートが見えなくなるまでソレを押し込んでいく。

ひくひくと震える秘部は力を入れずとも、どんどんチョコレートを美味しそうに食す。

普段とは違うイレギュラーなプレイや焦れったい愛撫のせいで感度を高められたヘチャンの身体は、小さな動きさえも敏感に拾いとって快感に変換した。

いつも受け入れているモノとは形も大きさも少し違う。冷たくて、それなのに触れたところからドロドロと溶けていく感覚に不快感を覚えつつも、興奮は治まることを知らない。



HC「いやっ…あ、ぬいて…っん、やだ、ぁ、ろんじゅな、あ、」

JN「さっきから嫌だ嫌だって言ってばっかりだよ」

RJ「ココは嬉しそうにひくひくしてるけどね」

HC「あぁ〜〜〜〜…っ、!あっ…、や、やああ、やだ、ぁ゙…っ、ひぅ…っ、」

JM「イっちゃったの?」



意地の悪い言葉ばかりを吐かれれば、羞恥心を煽られたヘチャンは顔を更に赤く染める。

ごり、と音が鳴ってしまいそうな程に強く突き入れたロンジュンの動きに、がくん、と身体が震えた後で、ヘチャンの陰茎から勢いよく白濁が溢れ出た。



HC「は…、ぁ、っ………あ、ん、」

JM「疲れたの?」

HC「ん……、ぁ、んぅっ…」



掴んでいたジェノの腕を解放したヘチャンが、力の入らない右腕をナカに埋め込まれたままのチョコレートへと伸ばす。

ごぷり、と濁ったローションと共に引き抜かれたチョコレート。

また一回り小さくなったソレが、如何にヘチャンの粘膜が熱を持っているのかを教えてくれた。

チョコレートを持ったまま暫く。突然ジェミンの方へと顔を向けたヘチャン。



JM「んぐ………っ」

RJ「え………、」



口の中に広がる泡立ったローションの感触、どろりとした温い液体、そしてチョコレートの味。

あろう事か、ヘチャンはナカから抜き取ったローションや腸液塗れのチョコレートをジェミンの口の中へと突っ込んだのだ。

驚いた拍子に口の中のものを嚥下したせいで、ドロドロとした液体が唾液に絡んで喉を通っていく。

ヘチャンのこの行動には流石のジェノやロンジュンも、驚いたように目を瞬かせた。

どうして自分ではなかったのか、という少しの不満も募らせながら。



JN「…………わぁ、」

HC「んっ、ぁ……ジェミナ、」

JM「……………舐めろって?」

HC「ぅ、ぁ……は、ぁ、ん…っ、あまい、?」



ああ、こいつ。全部分かってやってる。

してやったり、と口端を吊り上げたヘチャンにジェミンは、眉がぴくり、と動くのが分かった。

こんなことをされて、誰が理性を保ってられると言うのだろう。

チョコレートを咥えさせられたままのジェミンが、ヘチャンの腕を掴んで、シーツに押し付けようとしたところで。



JN「一番直近でヤったのはジェミナでしょ。俺の最後は一週間前だから俺から」

JM「うぐ……っ、」

RJ「じゃあその次は俺だね」

JM「はぁ………、」



考えること、思うことは、ジェノやロンジュンとて同じだ。

目をギラつかせたジェノが、ジェミンの身体からヘチャンを引き剥がしたかと思えば、ジェミンを容赦なくベッド下へと突き落とす。

すんでのところでロンジュンが支えてくれたおかげで頭を打つことはなかったが、みっともなく倒れ込んだままに、ジェミンは恨めしげにジェノを見遣った。こんな時のジェノは気に食わない。

口の中にはチョコレートを含んでいるのだから、もう少し慮ってほしいものだ。

ベッド上から勝ち誇ったような笑みを浮かべて見下ろすジェノを睨みつける。

揶揄うように笑うロンジュンがジェミンの頭を撫でて宥めるけれど、この場合は火に油を注いでいるようなものだろう。

悔しさに歯軋りをするジェミンを見るならば、それは明らかだった。



RJ「はいはい、ジェミナは赤ちゃんみたいにコレを咥えてなさい」

JM「赤ちゃんはこんなもの咥えません」



言って、チョコレートをジェノの頭へ投げつけようと振りかざせば、彼は既にヘチャンの左足を右肩に引っ掛け、今にも挿入しようとしているところだった。

身に纏っていた部屋着は雑に脱ぎ捨てられ、ベッドの隅にクシャクシャになった状態で丸まっている。



JN「へチャニはどこが好きだったかな〜」

HC「んっ…、ぁ、じぇの、ごめんなさ…やさしくして、」

JN「むりー」



興奮に反り勃った陰茎にゴムを被せることなく、ローションやチョコレートに濡れた秘部へと擦り付ける。

普段よりも更に膨らんだ陰茎に、自分のやってしまった事を後悔したヘチャンが縋るけれど、それももう後の祭りであった。

ここまで恋人たちの興奮を煽っておいて、「優しくして」は無いだろう。

にこにこと笑みを浮かべながら、ジェノは迷うことなく首を振った。



HC「は、ぁん…っあああ、や…!ああ、っん、あ、〜〜〜っ、!」

RJ「うわ、めっちゃ腰反ってるよ」



チョコレートを振り翳していたジェミンだったが、ヘチャンの大きな嬌声が響き始めたのを合図に、仕方なしにチョコレートを咥え直した。

流石のジェミンとて、ここで行為の邪魔なんて野暮なことはしない。

不貞腐れた顔付きのまま、ボリボリと音を立てて歯で噛み砕けば、ロンジュンが青ざめた表情で彼を見遣る。

言わんとすることは概ね分かるけれど、そんなもの、ジェミンの知ったことではなかった。

今のジェミンは、少しだけ機嫌が悪いのだ。



RJ「お前、まじ………今は無いわ、」

JM「面倒くさがらずに決着つけておくべきだったよ………」

RJ「まさか、ソレを俺とジェノのモノに見立ててるわけじゃないよな……?」

JM「あはは、なくなればいいのにね」



ひっ、と小さく悲鳴を上げたロンジュンが「ヘチャナ〜…ジェミナが、」と魂の抜けたような声を発しながら擦り寄っていく。

そんなロンジュンにほくそ笑みながら、ジェミンは棒だけになってしまったソレをゴミ箱へと投げ入れた。

ギシギシ、とスプリングが音を上げているけれど、ジェノの激しい腰の動きは止まることを知らない。

ばちゅ、ごちゅ、と骨がぶつかる音までもが聞こえてきそうな勢いで打ち付けられている。

ヘチャンの身体とシーツの間に人一人寝ることができてしまいそうな程に反り返る腰。

快感に痙攣する内腿がジェノの腰を包み込んだ。

ぽたぽたと垂れ落ちるジェノの汗がヘチャンの涙と一緒にシーツへと染み込んでいく。



HC「ああ゙…っ!!……んあっ、ん、んぅ…っあ!」

JN「んっ………力抜いて、」

HC「ん゙っ…!?!!ぅ…〜〜〜〜っ、〜、!!」

RJ「ヘチャナこっちも、」

JN「あ〜………、声が聞こえなくなっちゃうじゃん」



言って、ジェノは額から流れる汗を片手で拭いながら文句を垂れた。

セックスなんて、嬌声を聞いてこそ興奮が高まるものではないか。

そんなヘチャンの嬌声を籠らせたのはロンジュンの陰茎だった。

ヘチャンの顔の上へ股がったロンジュンは、ジェノに背を向けたままヘチャンの口の中へ腫れ上がった陰茎を咥えさせる。

苦しさに強く目を瞑ったヘチャンは、言われる通りに口を窄め、亀頭を喉奥へと招き入れた。

尿道を舌で抉り、裏筋をなぞれば、ロンジュンは快感に顔を歪める。



RJ「っん……上手、」

HC「んぐ…っぅ、ん゙…っ!ぁ…〜〜っ、」



ロンジュンのせいで、ヘチャンの顔すらも見えなくなってしまったジェノは、当て付けにとヘチャンの腰からギリギリのところまで自身を引き抜いていく。

絡み付く襞が己のカリ首に引っ掛かり、息を詰めた。

ジェノがしようとしていることを理解したヘチャンが慌てて首を振る。



RJ「ヘチャナ……っ、ちゃんと咥えて、」

HC「ん゙んぅ〜〜〜っ…!!や、やらぁ、あっ゙、!!やんん゙〜〜〜っ、!!!」

RJ「もっと奥、」

JN「いくよ、」

HC「ぁ゙っ、〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、!!?!!」



ごちゅん。ヘチャンの腹のナカで、鳴ってはならない音が響き、横で眺めていたジェミンがドン引いたような表情で身を竦めた。

ロンジュンに喉奥を突かれ、後頭部を押さえつけられたまま。ジェノに穿たれた身体は真っ二つに折れてしまう程に腰を大きく反らせる。

飛び散る白濁と、引きちぎらんとばかりに締め上げる後孔に、釣られたジェノが腰を震わせた。



JN「ん゙っ………、」

HC「はっ…あ、あ、ぁ……っ、ひ、ぅ、〜〜っ、」



腹奥へと勢いよく注がれる熱い液体にヘチャンは腰を震わせながら喘ぐ他になかった。

絶頂に達すると共に、ヘチャンは喉奥をもぎゅう、と締め付け、何とか射精することを耐え凌いだロンジュンが眉を寄せたまま息を吐く。

精液を全て出し切る如く、ゆるゆると動き続けるジェノを抑えようと手を伸ばすけれど、如何せんロンジュンが目の前にいるせいで、その両手が届くことはない。

がくがくと痙攣する内腿をジェノが緩く撫でた後で、ゆっくりと萎えた陰茎を引き抜かれる。

それにすらも敏感に反応した身体に「可愛い」とジェノが人知れず呟いた。



HC「っん……つかれた、ぁ…、」

RJ「へチャニ、まだ、」



ジェノがベッドから降りたのを確認したロンジュンが、ヘチャンをうつ伏せに転がす。

もう無理だ、と身を捩るが、力の抜けきった身体では抵抗にもならない。

腰だけを高く突き出した状態になったヘチャンの背後に膝立ちをしたロンジュンが、細い指でぐちゅり、と秘部の浅い部分を掻き混ぜた。



HC「っあ…!や、んっ!」

RJ「………舐めて、」

HC「んっ…、ふ、ぅぇ…、」



抵抗をも諦めてしまったヘチャンは、近付けられた、液体の絡まった指先を素直に口に含んだ。

ねっとりと泡立った液体。青臭さが味覚を占領した後で仄かに残るチョコレートの味。

気持ち悪さに吐き出しそうになるのを堪えて、こくん、と喉奥に流し込む。



RJ「ん…、良い子、」

HC「っあ゙!!!ああっ、や、あんぅ…!」



飲み下したことを褒めるように頭を撫でられたかと思えば、前触れなく押し込まれたロンジュンの熱に悲鳴に近い嬌声が漏れた。

ごりごり、と前立腺を虐められれば、動きに合わせて腰が揺れる。

ジェノの精液が溜まっているせいで、じゅぽじゅぽと卑猥な水音が鳴って、溢れ出したそれらがヘチャンの内腿を伝ってシーツへ垂れていく。

快感に燻られ続けた脳と涙が張って揺らいだ視界では正常な判断もできずに、遂には前後の感覚すらもなくなってしまった。

気持ちがいい。気持ち良すぎて、怖い。

何かにしがみつこうと、枕へと手を伸ばしたところで、ベッドに頬杖をついていたジェミンと視線が絡み合う。

涙や涎に濡れた、蕩けたヘチャンの顔に、ジェミンが愛おしそうに笑った。



JM「気持ち良さそう、いっぱい声出ちゃうね」

HC「んあっ!や、やぁ〜…、ん゙っ、んん゙〜〜〜っ、!!」



快感に八の字になっていた眉が、更に垂れ下がる。

ジェミンの暖かい右手がヘチャンの頬を擽ると、あまりの羞恥に涙腺が決壊し、ボロボロと涙が溢れ出た。

行為中はただでさえ甘ったるいジェミンが、普段に増して甘やかしてくれる。

その隣で、三日月目を細めて笑うジェノが視界に入ったならば、もう耐えられなかった。

恥ずかしい。自分の喘ぎ声が全部、聞かれている。快感に溺れる醜態を間近で見られている。



HC「んぅ゙〜〜〜っ、ん゙っ…!っゔぅ……〜〜〜っ、っ!」

JN「あー…、ジェミナが言うから隠しちゃったじゃん」

JM「頑張って耐えてるのも可愛いでしょ」

RJ「ヘチャナ、っ…もうすぐ、」



手繰り寄せた枕に顔を埋め、少しでも自分の嬌声を押し込めるように。

しかしそれも叶わず、奥を突かれる度に内臓を押し上げると共に、声も押し出されてしまうのだ。

快感に耐えきれず、だらしなく広がっていくヘチャンの両足は、もう身体を支えることもできなくなっていた。

それでも、ロンジュンの陰茎を締め付けるナカの力は緩むことはない。

湧き上がる射精感に少しずつ速まっていく腰の動き。



HC「あああ…っ!!やっ…、やら…っあ…あああ゙っ、くる…っぅ、あ、いぐ…っ、あああ…っ」

RJ「ん…っ、分かってる、」



せり上がる快感に、引き攣れた嬌声を上げたヘチャンが喉を反らす。

籠ることのなくなった上擦った喘ぎ声が、煩い程に部屋中へと木霊した。

絶頂に向けて震える腰をロンジュンが引き寄せる。

身体と連動して痙攣する内壁に、限界が近いのはヘチャンだけではない。



HC「っあ゙、!!…い、ぐぅ……っ、いぐ、あんん゙…っあ、あ…、あ゙、ーーー…!!」

RJ「っぁ、………、」



くん、とヘチャンの腰が上に跳ねると同時。

がくがくと震える両足。シーツの上へ飛び散る薄まった白濁。



HC「っふ…、っ…あ、ん…っ、」

RJ「はー……、」



奥に果てたロンジュンがゆっくりと引き抜けば、追いかけるようにしてヘチャンの臀が着いてくる。

抜け切ってしまうと途端に崩れ落ちた下半身。

べちゃり、とシーツに溜まる精液やらが音を立てた。

溢れ出る精液が、そこに更に溜まりを作っていく。

シーツに接する腹や太腿が濡れて気持ち悪いけれど、それをどうこうする気力さえヘチャンには残っていない。



JM「……ヘチャナ、」

HC「………………ん、」

JM「もう無理?」



反射的に頷こうとして。ヘチャンはシーツに埋めていた頭をゆらりと持ち上げた。

普段の何倍も、緩んだ表情。

眉を下げて微笑むジェミンが、汗で額に張り付いてしまった黒髪を優しく掻き分ける。

怠さの残る腕をそっと伸ばして。

ヘチャンの言わんとすることを理解したジェミンが、ゆったりとベッドへ乗り上げた。



JN「ヘチャナー、一昨日もジェミナとシたんでしょ?」

RJ「無理しなくていいよ」

JN「その代わりもう一回シよう」

JM「なんてこと言うの」



ベッド脇で眺めるジェノやロンジュンが、力無く横たわるヘチャンの顔を覗き込む。

一度達したとは言えど、ヘチャンの痴態を散々に見せつけられてしまうのなら興奮が再び兆すのも仕方のないことだろう。

下着だけは身に付けているものの、ジェノの陰茎はすっかり布地を押し上げていて、吐き出すのを今か今かと待ち侘びていた。

まだ息の整っていないロンジュンとて、やる気だけは満ち溢れているようだった。



HC「ん、じぇみな……、」

JM「いつもと一緒でいい?」

HC「ん、」



しかし。そんな二人の言葉も、ヘチャンには届いていない。

何にせよ、ヘチャンが情事において一番気に入っているのはジェミンである。

無視を決められたことで拗ねた表情を浮かべる二人には見向きもせず、仰向けになったヘチャンはジェミンの背に腕を回した。

開かれたヘチャンの両足に身体を滑り込ませ、膝裏を抱えて持ち上げる。

長いこと焦らされたジェミンに、ヘチャンの身体を愛撫する余裕など残っていない。

数回、会陰をなぞったジェミンの怒張が、ヘチャンが息を吐き出すと共に埋め込まれていく。



HC「っぁ、あ、あ…〜〜〜っ、んぅ…っあ!」

JM「ん……、どろどろ、」



ジェノやロンジュンに穿たれ続け、緩みきってしまった後孔は、いとも容易にジェミンの陰茎を奥の鎮まりまで迎え入れる。

獲物を仕留めたように絡み付いて離れない粘膜に、ジェミンは先走りを馴染ませようと緩く動かした。



HC「んぅぅ〜〜っ…あ、ぁぁー…や、だぁ…、おっきい…、」

JN「えぇ〜、ジェミナより絶対俺の方が、」

RJ「いつもよりってことだろ」

JM「っ…うるさい、」



身を乗り出して行為を見詰めるジェノの肩を、鬱陶しげにジェミンが押しやった。

俺はお前らの邪魔しなかったでしょ。

そう思いながらも口には出さない。

言ってしまえば言い返されてしまうのは間違いないし、何より、今は己の快感を優先させたい。

普段よりも大きく膨らんだジェミンの陰茎に、ヘチャンは身体を震わせて悦ぶ。

普段とは違う、非日常なプレイに加え、ジェノやロンジュンとの行為を見せつけられてしまうのなら、こうなってしまうのも仕方がないことである。

まだ理性を保ち続けていることを褒めて欲しいものだ。



HC「んっ…んっ、じぇみ、な…ぁ……っああ!」

JM「ん、?」

HC「おく、ぅ……ああ、おぐぅ…!やら、ぁ…!」

JM「うん、好きでしょ…、」



とん、とん、と奥を優しく叩けば、喉を反らせて大きく喘ぐ。

大きすぎる快感を逃そうと、子供が駄々を捏ねるみたいに首を振るヘチャンの頭を撫で、快感に暴れる両足を抱え込んだ。

ぐりぐりと押し付けるような腰つきに変えると、痙攣するヘチャンの腰が大きく震えた。

精液とジェミンの陰茎で一杯になったヘチャンの腹がぽこりと膨らんでいる。



JN「ふふ、へチャニ、お腹いっぱいだね」

HC「ん゙あ゙っ!!やぁ、〜〜〜っ!?!」

JM「っぅ゙……ジェノっ、!」

JN「へへ、ごめん」



ぎゅう、とヘチャンの腹を押し込んだジェノに、ヘチャンが目を見開いて喘いだ。

腹を圧迫されたことで、ぶじゅ、と卑猥な音と共に結合部から液体が溢れる。

中からも外からも刺激を喰らったヘチャンは快感に悶絶し、顔をぐしょぐしょにしながらジェミンへ縋った。

あまりの締め付けにジェミンが抗議の声を上げるが、へらりと謝るジェノからは反省の色は微塵も見受けられない。



RJ「ヘチャナ気持ちいの?」

HC「きもち、ぃ゙…!ぁ、あああ、っ…きもち、んあ、!」

RJ「ジェミナは?」

JM「っあたりまえ、」



どうしてこうも、邪魔が多いのか。

息絶えだえながらも、素直に答えるヘチャンは愛おしいけれど、うざったいことに変わりはない。

本当なら今直ぐにでも二人を部屋の外へ追い出したいところだが、ここで中断してしまうのはジェミンにとっても、ヘチャンにとっても苦痛でしかないことだった。

どちらにせよ、もう互いに絶頂は近い。



HC「ああっ…ああ、ん、や…いっちゃ、ぁ…いく、ぅ…あああ、ん!」

JM「ん、いいよ、」

HC「ひっ……あぁ゙、っん゙…いぐ、ぁ…やん゙、!っあ、あ、…ん゙、〜〜〜〜〜っ!?!!」

JM「っく、……、」



一際、高い嬌声を上げたヘチャンが、身体を大きく震わせて絶頂する。

ぷしゃり、と潮混じりの、白さの残らない精液が噴き出し、覆い被さるジェミンの腹を汚した。

ヘチャンと共に喉を鳴らしたジェミンも、溢れんばかりの精液を吐き出す。



HC「はー…、っは、ぁ…んっ、」

JM「ふ、ー…っ、」

HC「じぇみ、な……きす、」

JM「ん、」



荒く息を吐き続けるヘチャンが、汗に濡れるジェミンの襟足を撫で付けた。

ジェミンとヘチャンの情事は、事後のキスがお決まりだ。

ジェノとロンジュンについては知らないが。

優しく口付けるジェミンに、ヘチャンが安心したように目を細める。

キスをしながら、落ちていくヘチャンの瞼を見詰め、「無理させたな」とジェミンは一人、後悔した。




・・・

JN「ジェミナだけズルいと思うんだけど」

JM「甘やかさないからだよ」

RJ「ジェミナより構ってあげてると思うんだけど」

JM「えー、でもへチャニは俺がいいんでしょ?」

HC「うん、めんどくないし」

「「こいつの方が面倒じゃん!!」」

HC「とばっちりー……」

CL「ヒョンたち、ここ楽屋」



ヘチャンを賭けた三人の決戦が始まるのも時間の問題だろう。

呆れたような視線を浴びせるチョンロの隣で、チソンは小さく、平和に解決するよう十字を切った。







_________________________

書き始めから書き終わりに二日かかるということをそろそろ学べ、という感じですね。申し訳ないです。

バレンタインに書き終わらなかったリクエストのチョコレートプレイをホワイトデーにリメイクしてみました。

総受け系って性欲処理か一夫多妻制か強姦のどれかだと思うんですが(あまりにも酷い)、リクエストで愛され系と頂いていたので平和に付き合っている設定で書かせて頂きました。

三人でヘチャンを取り合ってたりしたら可愛いな、なんて。

でも、ヘチャンはどちらかと言うなら、ロンジュンのことは可愛がりたいと思っていそうだし、ジェノは単純にねちっこさに飽き飽きしてそうだし、結局ジェミンに収まるのでは??と私の妄想が詰まりに詰まった小説になってしまいました(笑)

ジェミンって普段は素っ気ないにしても、ここぞと言う時にドロドロになるくらいに甘やかしてくれそう。特にヘチャンには。

そんな甘ったるいジェミンに一生慣れることができないヘチャンがいたら可愛いですよね、、、

ジェノは言わずもがな、ロンジュンってタチになると少しだけ意地悪そうだな、なんて思いました。

ジェミンは人を甘やかすことが好きだから、例えそれがヘチャンであったにせよ、意地悪は苦手だと思います。

ロンジュンのタチを書いてて、「タチのロンジュンをネコが組み敷いてネコに仕立て上げる」なんていうロンジュンがただただ可愛いお話を書きたい、と思ってしまいました。

この場合元のネコ役は誰が似合うんだろう(笑)



気付けばお気に入りが4桁に乗りまして、本当に感謝感激です、、、

私のこんなお話を楽しんで頂けていると思うと嬉しくてたまりません!!

バレンタインとかホワイトデー(なんならもう一話ぐらいあげようとか思ってる)とかでリクエスト消化が進んでいないことだけが申し訳ないです。

あと二話ほど別のお話をあげたらリクエストに戻ろうと考えています。

大分前にリクエストをくださった方はもう読んでいらっしゃらないかもしれませんが、自己満ということで(笑)



これからも何卒、よろしくお願い致します!


プリ小説オーディオドラマ