これで依頼人とは話をつけた。
報酬で××万円。そして、蕾爾への遺産。あなたの名字家の武器庫。
ほぼほぼこれは俺のものとなる。
カランカランと、音を立てて店へはいる。
空腹状態だった蕾爾。なのでまず飯を食わせた。
と言わんばりの目付きで最初は見てきたが、今はリスのようにもぐもぐとご飯を食べている。
俺は蕾爾の頬に手をやり、ご飯粒をとって食べた。
相当恥ずかしかったのか頬から火が出るくらい熱くなっている。
俺は言葉を飲み込んだ。
多分、嫌な過去があんだろうな…。
俺と同じで。
服を1式揃え、俺の隠れ家へ向かう。
こうして、甚爾と蕾爾の生活が始まった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。