第2話

#2
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2020/04/24 10:04
『あーっ、疲れた…』
今年で34歳、独身。

自分でも終わってると思う。
まあ、仕事柄結婚出来ないのは仕方ないと思うけど、彼女くらいは欲しい。
もう何年も彼女なんていないし、自分の周りに溢れる女優はみんな結婚済み。流石に虚しくなるもんだ。

手越なんて、自分のファンの子と付き合ってんだぜ??あーいいなぁ。俺だって……
色々考えてる内に、眠りについてしまった。
『…ここは、どこだ?』
まだ重ぃ瞼を擦り周りを見渡すと、真っ白で何も無い。あるのは、自分が乗っているベッドだけ。
『くそっ、体が重くて動けねぇ…』
上手く足を使って降りようとするけど、夢特有の力で足が重く動かない。なにも出来ないと悟った俺は、自分が夢から覚めるのを待つことにした。
「あれ、逃げないの?」
何もない空間から声がしてはっと前を向くと、白いワンピースに身を包む女の子の姿。大きく開いた胸元からは谷間が見え、短い丈のスカートからは白く色っぽい足が見えていた。

思わず口角があがりそうになる。
「あーっ、今ニヤッてした!」

『し、してねぇし!』

「ふふっ、久しぶりのお仕事がこんなにイケメンで嬉しいなぁっ。ねえ、名前は?」

『貴久。増田貴久。君は?』

「秘密♡」
はぁ!?と思わず出かかった声を抑える。
そっちが聞いたから答えたのに、同じ質問したら秘密って…都合良すぎだろこの女!!

「だめなの。ルシファーのいいつけで…」

『ルシファー?』

「あっ!言っちゃった…っ。また怒られちゃう。
…仕方ないから全部話すね」
そう言って彼女はおもむろにベッドに入り込んで来て、嘘のような話を俺に聞かせた。
「…私、悪魔なの。インキュバスって…聞いたことある?」

『ない』

「だよね。説明すると、超下級悪魔で、人の夢の中に入り込んでセックスするんだよ。淫魔って言うの」

『えっ、じゃあもしかして、俺は今襲われそうになってるってこと?』

「そういう事!ルシファーが貴久くんを選んだから、私は貴久くんとエッチなことをするんだよ」

『…その、ルシファー?ってなに?』

「私たちインキュバスはキリスト教の悪魔だから、あんまりこういう表現はしたくないけど…閻魔様みたいな感じ!1番偉いの!」
閻魔は確か…仏教?
って、こんなこと覚えてなくていいんだよ。

彼女は饒舌じょうぜつに話す。
だから重要なことがよく分からない。
「だからね、貴久くん。これは立派な任務なの。私とセックスしてくれるよね?」
俺に跨り、ワンピースを脱ぎ始める。
紐を下ろすと丁度いい大きさの胸、さらにくびれた腰が見えてくる。興味というか、顔も可愛いしスタイルもいいから、例え悪魔であっても興奮してくるものだ。俺は下に下に下がるワンピースを必死に目で追う。

彼女が下着姿になる頃には、俺のモノは既に大きく膨れ上がっていた。これも彼女の思惑通り…らしい。口角が僅かに上がっている。
「貴久くんの…おっきくなってるね…」
ズボン越しに優しく撫でられる。
やがて彼女の手は俺のパンツの中に入り込んできて、激しくモノを扱かれた。
そのまま最後まで、きっちりヤってしまった。
目が覚めるとそこはいつもの部屋。
パンツが濡れたような感覚が気持ち悪くて咄嗟に中を確認すると、見事に精液まみれだった。
「…夢精むせいとか、ガキかよ…」
仕方なくパンツは履き替えて、その日は午後からの仕事だったから彼女について考えることにした。

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