第7話

#7
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2021/07/05 10:00
うんと背伸びをして目を覚ました。ベッドから降りようと足を降ろすと、なにかに当たった。几帳面な性格だから足元に物を置くことはない…はず。俺はゆっくり顔を上に向けた。


『…は、』

「おはよう、貴久くん」


そこにいたのは、俺の大好きな、夢の中だけに現れるインキュバス。…何故?ここは夢の中なのか?


「びっくりしてるよね(笑)私、貴久くんに会いに来ちゃった」

『現実に…?』

「インキュバスは夢と現実の行き来が出来るの。ルシファーに頼めばね」

『それで現実に…って、ダメだろ、そんな格好で外歩いたら襲われるぞ』

「それで前回失敗してるんだけどね」

自嘲の笑みを見せた。
今日は休み、外に出ずに彼女といることは可能だ。俺は彼女に今日一日だけの自宅の滞在を許可した。

まずはベッドから降りて水を飲んだ。彼女はベッドに座っている。何を待っているかはなんとなく予想が付いていた。

『お前、ここでも精液飲まないとダメなの?』

「うん。ルシファーの言いつけ」

『じゃあ風呂入ってくるから、待ってて』

「わかった!」


お湯は沸かさずに、隅々までシャワーで流して、出来るだけ短い時間でお風呂から上がった。
自分でもびっくりだった。女嫌い(性行為というものが好きじゃない)の自分が、まさか悪魔に恋をするなんて。今は彼女に尽くしてやりたいとまで思っている。

どうせすぐに脱ぐだろうと思いハーフパンツと白いTシャツで寝室に戻った。


「遅い」

『お前のためだって』

「はーやーく」

『わかったよ、ほら』


俺はベッドに腰掛け、彼女の方を向いて手を広げた。彼女は嬉しそうに俺に抱きついた。
彼女の頭に付いている小さな角が丁度目の前にあったから、試しにぺろりと舐めてみると彼女の腰が跳ね上がった。


「ちょ、急に舐めないでよ…!」

『ここ感じるんだな』

「だーめ!全部私がするから、貴久くんは寝てるだけでいいの」

『それも言い付けか』

「そーだよ、ルシファーの言いつけは絶対だからね。いつでも見られてるんだから」

彼女は少し寂しそうな顔をした。
彼女は愛されているのだろうか。まあ、愛されていなくても俺が変わりにでもなんでもなってやる…けど。


「ごめんね、自分勝手で」


そう言って優しく押し倒される。俺は今日もされるがまま、無我夢中に貪った。

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