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第8話

#8
303
2021/07/12 10:00
翌日目を覚ましたときには、彼女は居なかった。いなかったどころか、いた形跡すら全く残っていなかったのだ。

『くっそ…散々俺の事弄びやがって…』

どこかで俺の事を見ているのだろうか。見ているなら言ってやりたい。馬鹿野郎と。
寝る前になにか聞こえたような気がしたが、あれは気の所為ではなかったということか。

「おやすみ、またねは無いからね」

俺は頭をかいた。イライラしながら仕事へ向かったが、案の定集中出来るはずもなく終始項垂れていた。
俺には、彼女を追いかけることしか出来ない。俺から会いに行くことは出来ない。彼女はいつも俺を突き放す。

俺は1人、部屋で自分を慰めた。

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