第11話

# 11
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2022/05/09 14:57
マリア
…リーリツェリア様。こちらでいかがでしょう。
# リーリツェリア
まぁ。素敵なデザインね。わたくしがお願いしたことが全て形になっている…。素晴らしいですわ。
マリア
お褒めのお言葉ありがたく存じます。
…この間に比べて身長が伸びてらっしゃいますね。
コールリスーズ様のご加護を頂けているようで何よりです。
…。アンナ、少し、こちらを調節しましょう。
今はお披露目式の儀式衣装の仮縫いをしています。プリマセーラ商会のマリアを筆頭とするわたくしの専属の針子たちが忙しく動きます。
# アンナ
はい、マリア様。リーリツェリア様。失礼致します。
商会の主であるマリアの指示に従いアンナという針子が丈を調節し始め、後ろではまた別の針子が飾りの位置を調整しています。

儀式用衣装はわたくしの髪の色である白銀をベースに薄いオーガンジーの青を重ねてフワッとした印象を与えるバルーンドレスです。とても綺麗に染められていて完成がとても楽しみなのです。
# レティーシエラ
リーリツェリア様、ミュリエアナ様より流行りを取り入れた衣装も誂えるよう言われましたのでそちらも注文致しましょう。
# リーリツェリア
えぇ。そうね。レティーシエラに任せます。あなたの目は確かでしょう。
# レティーシエラ
かしこまりました。マリア、最近の流行を取り入れた衣装を誂えたいのです。よろしいですか?
マリア
はい。承らせて頂きます。
アンナ、後は頼みますね。
アンナが頷いたのを確認するとマリアとレティーシエラは隣の部屋へとわたくしの部屋を出ていきました。
# ドロッセル
フォニアーナ様がいらっしゃいました。
仮縫いも終わり、針子たちが片付けを始めた頃に扉の前で護衛をしていたドロッセルの声が届きます。
# リーリツェリア
まぁ…お通しして。
# ドロッセル
はい。
ガチャリという音と衣擦れの音がしてフォニイお姉様が側近を連れて入って来られました。
# リーリツェリア
フォニイお姉様、このような状況で申し訳ありません。
# フォニアーナ
いいえ。わたくしこそ、急にごめんなさいね。
# リーリツェリア
いえ。どのようなご用件でしょうか?
# フォニアーナ
わたくしと揃いの衣装を誂えませんか?という提案です。
その提案に驚きつつ、わたくしは顔が綻んでいくのを自覚します。
# リーリツェリア
えぇ、ええ。誂えましょう?
# フォニアーナ
それなら決まりね。今度貴方が誂える衣装のデッサンを見せてちょうだいな。
# リーリツェリア
はい。わかりましたわ。
# フォニアーナ
それだけよ。慌ただしくてごめんなさいね。
普通の貴族ならばあり得ないことですが嵐のように去っていったフォニイお姉様を見送り、わたくしは針子たちに向き直ります。いつのまにかマリアとレティーシエラも戻ってきておりました。
# リーリツェリア
本日はありがたく存じます。完成を楽しみにしておりますね。
と、わたくしが出ないと針子たちも帰り支度ができないためそれだけ伝えて退出しました。

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