ツェリマとマリンに着付けをしてもらい、一息ついたところを狙ったようにサシャがお茶を持ってきました。完璧な時間配分です。
優しく微笑んだツェリマをみて嬉しそうにするサシャ。まだわたくしと同い年の8歳ですが、すこし表情が豊かというか、感情が出ているようにも思いますが…貴族として育てられていないサシャの反応は年相応ですね。
マリンの声に振り向き、少し待っていただくように言い、お茶の用意をするようにツェリマに指示を出します。神宮長、ジョシュア様。…それは神宮の中では神官長であり、領主の娘のわたくしよりも上の立場の方です。
そうですか。といったジョシュア様はわたくしの担当場所を教えてくれました。
ジョシュア様の言葉にツェリマが柔らかく微笑みます。
ジョシュア様はツェリマ達のような神宮で生まれた子供達__神宮神官や神宮巫女__を大切にしていらっしゃいますから、皆に慕われているのです。神宮神官や神宮巫女の反対、貴族として生きられなくて神宮に入れられた者のことを貴族神官、貴族巫女といいます。そういった者たちは神宮神官たちに厳しくあたったり横暴に振る舞うことが多いのです。ですからジョシュア様のような貴族神官は珍しいとも言えます。
ツェリマはジョシュア様が退出した扉をしばらく見つめていましたがふと我に返ったように仕事を始め、わたくしはその様子をそっと眺めておりました。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。