第68話

帰宅 煽り組 
1,170
2024/04/25 15:33
付き合ってません!
学生設定
先生
じゃあ、今日の授業を終わります
宿題はカリキュラム通りで宜しくね〜
やっっと終わった……
動かしていたシャーペンを持っている右手を止め、帰る用意をする。
テキストやノートを鞄に詰めているとトントン、と私の机を軽く叩く音がした。
顔を上げると、私の前の座席に座っている子が後ろ向きに座っていた。
shp
な、なああなたの苗字……さん?
あなた
え、っと……
shp
帰ったら国語の宿題ノート開けて欲しい
国語の宿題ノート……というのは多分さっき前から回ってきた前回回収されたものだろう。
あなた
……はあ?
この子は確か……”ショッピ”と呼ばれていた気がする。
別の学校の生徒で背も幾分か、私より高い。
shp
そういう事やから、
絶対家で開けろよ、と最後に念押しされ彼は鞄を背負って教室を出て行った。
帰宅後、中身が気になり急いで国語の宿題ノートを開けた。すると一枚の紙がひらりと落ちる。
あなた
なん、だろう……
拾って見てみると、そこには数字とアルファベットが沢山羅列していた。
紙を裏返してみるとラインのIDです、と淡々とした文で書かれていた。
あなた
追加しろ…ってこと?
恐る恐るアプリを立ち上げ、キーボードにIDを打ち込んでいく。
すると、猫のアイコンをしているアカウントがぽっと浮かび出た。
あなた
名前は……えーと、ショッピ……??
追加ボタンを押して電源を切った瞬間、ブブブッとスマホのバイブレーションが鳴った。
あなた
うぉっ!?
送り主は勿論彼からだった。
宜しくね、とそれだけ来たので宜しく、とそれとなく返しておいた。
それから学校はどこ?とかいつも何時に帰るん?とか色々聞かれた後にありがとうと感謝のメッセージが来て一旦会話は終了した。
次の日
あなた
はぁぁ……やっと学校終わった〜!
sha
まじでそれな……くそ長かったんやけど……
靴箱から外靴を取り出して履いて校門へと向かう。
sha
てか今日一緒に帰らん?
あなた
おっ、いいね〜!じゃあシャオちゃんの奢りでアイス食べようかな……wwww
sha
はぁぁぁ〜〜??まあええけどさ、www
冗談を言い合っていると校門の柱に誰かが寄りかかっているのを見つけた。
あなた
……誰だろう、あれ、どっかで……
その人はいきなりこちらを見ると小さく手を左右に振った。
shp
あなたの苗字さん
あなた
しょ……っぴさん?
とにかく私に用事があるみたいだったので彼に駆け寄る。
sha
あっ、あなたの下の名前!ちょ、待ってや!
小走りしている途中にシャオちゃんに首根っこを掴まれてしまった様だ。
あなた
しゃ、おちゃん?
sha
誰なん、アイツ……制服も知らんとこやんか
あなた
塾?……の知り合いというか……私もほぼ初対面なんだけど…
shp
あなたの苗字さん?早くこっち来てくださいよ(笑)
ショッピさんがクスクスと笑って手招きをしてくる。
そうすると、何故かシャオちゃんが私を手で制止してからずんずんとショッピさんの方へ歩いていった。
sha
あなたの下の名前に何の用事なん?
shp
ん?あぁ、いや、あなたの苗字さんと一緒に帰ろうと思って
sha
あなたの下の名前は俺と帰るんですけどぉ?
shp
……そっすか
シャオちゃんが「さっ、帰ろー」と手を差し伸べたのでその手をそっと握ると反対の手からも温もりを感じた。
shp
いや、ワイと帰るんですよね?
sha
は、おま……何勝手な事言って……
shp
……あなただって大分勝手ですけど
sha
ぐ、ぐぬぬ……
二人はバチバチとお互いを睨み合い、不穏な空気が流れる。
あなた
あ、あのぉ……
あなた
”3人で”……帰りません……?
渋々だが受け入れてくれた二人は私を真ん中にして歩き出した。
shp
あなたの苗字さん、私服も可愛いですけど制服も似合ってますね
あなた
ウン……アリガトゴザマス……
sha
え、なんでコイツなんかに私服見せとんの!?!?
あなた
だから塾の人だって……!!
ぼちぼち歩いているとシャオちゃんと行くつもりだったコンビニの前に差し掛かった。
sha
……あなたの下の名前アイス買うっ!?
あなた
……えっ、うん……?
shp
じゃあワイがあなたの苗字さんの分のアイス買いますよ
sha
俺が払うねん!
あなた
私自分で買うってば〜……!!
20分の激闘の末、結局私のアイスはショッピさんとシャオちゃんの二人で割り勘というなんとも斬新な払い方に決定した。
あなた
ペロペロ………ん、美味し
sha
あなたの下の名前、
あなた
シャオちゃん?
sha
あー
シャオちゃんは口を軽く開けてアイス入れろ、と私に合図を送っている。
私はスプーンでアイスを掬って彼の口に運んだ。
sha
んまっ……
shp
あなたの苗字さん、じゃあワイのあげますよ
この人ので減っちゃったでしょ?とパピコの蓋の部分だけを私に差し出した。
あなた
あ、ありがと……(苦笑)
蓋の部分だけって……と思いながら有り難く頂く。
あなた
あ、美味しい
ショッピさんはフッ……と勝ち誇ったような笑みをし、シャオちゃんを散々馬鹿にしていた。
それから何故か私の家まで送って貰い、二人と別れた。
あなた
まじでショッピさん……何だったんだあの人……
ぼそ、と独り言を呟いてベッドに身を投げる。
次の日もそのまた次の日もほぼ毎日3人で一緒に帰る事になるとはこのときはまだ知らなかった。




shp
(早く諦めてくれへんかなー……アイツ)




sha
(アイツには絶対負けへん……!!)
あなた
……(悪寒がする…)
テスト……中間……やる気……出ないウッ……

プリ小説オーディオドラマ