第4話

チームメイト探索
40
2020/03/25 01:32
俺とナインは、もう1人の“チームメイト”を探しに、マンションの中へ降りた。
探し方は至ってシンプルで、
ナイン
ナイン
ねぇ、誰かいる〜?私、ナイン!
そう、ただひたすら呼ぶ。
と言ってもマンションはそれなりに広く、ナインの声が届く範囲にも限界がある。
レイ
レイ
もうちょっと効率いい方法ないのか?
ナイン
ナイン
こういうのは自分の足で仕事した方がいいっておじさんが言ってたわよ?
ナイン
ナイン
ほら、レイも手伝って!
レイ
レイ
そういうもんか…?
他の方法が提案できるかと言われればそうでもないので、俺は特に反論も出来ない。
ナインに言われるまま、俺も声を出そうと、胸いっぱいに息を吸い込み―――
ナイン
ナイン
――あれっ?
レイ
レイ
ぶふぉっ
喉でクラウチングしていた空気が、止まりきれずに唇からフィニッシュ。
なんか自分でも何を言ってるか分からなくなった。
レイ
レイ
…で、どうした?
ナイン
ナイン
これ……
ナインは、すぐ隣にある扉を指さした。
そこには、
レイ
レイ
…『チームメイトの皆さんはこちらへ』?
俺たちを指しているとしか思えない、そんな貼り紙がしてあった。
ナイン
ナイン
ここに、もう1人の人がいるのかな?
ナイン
ナイン
とりあえず、入ってみよう!
レイ
レイ
あぁ。
……

…………

………………
レイ
レイ
……えっ?
ナイン
ナイン
……えっ?
レイ
レイ
お前が先に入るんじゃないのか?
ナイン
ナイン
ここはレイが先に入るところでしょ。男なんだから。
ここまでのパターンからして、ナインが積極性を示して扉を開けるものではないだろうか。
この貼り紙が、“チームメイト”によるものであれば、いきなり俺たちに危害が加わることはない…だろうが、やはり画策されたものだけに、一歩踏み出すのは勇気がいる。
レイ
レイ
レディーファースト、という考え方もあるが…
レイ
レイ
まぁ、いいや。
思えば、とっくの昔に傷つくことは慣れている。
万一のことを考えて、俺が先に入ることにした。


ガチャ
少しだけ重い、マンション特有の扉を押し開ける。
その先に広がったのは――
レイ
レイ
……何だ?
火が焚かれた暖炉、大きな絵画、そして中央に小さなテーブルのある、特異な雰囲気の部屋が、俺たちを出迎えていた。

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