俺とナインは、もう1人の“チームメイト”を探しに、マンションの中へ降りた。
探し方は至ってシンプルで、
そう、ただひたすら呼ぶ。
と言ってもマンションはそれなりに広く、ナインの声が届く範囲にも限界がある。
他の方法が提案できるかと言われればそうでもないので、俺は特に反論も出来ない。
ナインに言われるまま、俺も声を出そうと、胸いっぱいに息を吸い込み―――
喉でクラウチングしていた空気が、止まりきれずに唇からフィニッシュ。
なんか自分でも何を言ってるか分からなくなった。
ナインは、すぐ隣にある扉を指さした。
そこには、
俺たちを指しているとしか思えない、そんな貼り紙がしてあった。
……
…………
………………
ここまでのパターンからして、ナインが積極性を示して扉を開けるものではないだろうか。
この貼り紙が、“チームメイト”によるものであれば、いきなり俺たちに危害が加わることはない…だろうが、やはり画策されたものだけに、一歩踏み出すのは勇気がいる。
思えば、とっくの昔に傷つくことは慣れている。
万一のことを考えて、俺が先に入ることにした。
ガチャ
少しだけ重い、マンション特有の扉を押し開ける。
その先に広がったのは――
火が焚かれた暖炉、大きな絵画、そして中央に小さなテーブルのある、特異な雰囲気の部屋が、俺たちを出迎えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!