第7話

回想3
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2018/08/15 12:09
「___おい、逃げんな。」
リーダー格の子の取り巻きを吹き飛ばしただけで、その後は手を下さなかったおそ松君がリーダー格の子達を呼び戻した。
「な、何よ!?こんなドブスの癖におそ松君達の傍に何時もいるからっ!!身の程を弁えさせようとしただけでっ!!!ウチらは悪くないっ!!!!全部このドブスが悪いのよっ!!!!!」
リーダー格の子は、私を睨みながら必死に反論した。
幼い頃からこういう事はあった。
おそ松君達は幼い頃からイケメンだし、女の子達が彼らに好意を抱くのもおかしくない。
彼らに好意を抱く女の子達が、ただの幼馴染なのに常に彼らと一緒にいる私を疎ましく思う事も理解出来る。
理不尽な事を言われたり、嫌がらせを受けたり、呼び出されたり···と色々あった私にとってさっきの様な事は中学時代には日常茶飯事だった。
だから、彼らにはこの様な件について話していなかった。
案外話していなかったのは正解だったのかもしれない。
彼らの周りから漂う殺気と冷ややかな空気は、彼ら彼女らの様な中学時代に勉学に勤しみ、品行方正に生活してきた"優等生"には馴染みのないものだろう、彼らの幼馴染の私には最早見慣れたものではあるが。
私は冷静にこの場の状況を判断し、彼らの間に入った。
「···確かに貴方の言う通りね。好意を抱く女の子達がいるにも関わらず、見せ付けるかの様に行動した私は馬鹿だった。ごめんなさい。」
「···」
リーダー格の子は口を噤んでいた。
「別にあなたが謝る事じゃねぇだろ、あんなにあなたを侮辱する必要性はねぇし、そもそも卑怯な手しか使えねぇ奴らに謝る必要性がねぇ。」
おそ松君は相変わらず、リーダー格の子達を睨んでいた。
「···確かにそういう見解もある。けれど、他人に不快な思いをさせた私には謝る必要性がある。」
リーダー格の子は、私を見て鼻で笑った。
「何?この期に及んでまでおそ松君達の好感度上げようとしてるの?」
嗚呼、もう救いようがない。
完全にこれで彼らは···、"スイッチ"が入っただろう。

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