第16話

偽心
58
2023/10/03 00:00
「さ、本題にはいるんだけどね」

 飲み物を一通り揃えて全員が席に座った頃、双葉がそう切り出すと同時に、若葉が便箋を差し出した。

「これが、陽に送られてきたやつ。意味がわからなかったんだけど、念の為に取っといたんだよね…」

「見ても、いいですか?」

「ん、いいよ〜」

 恐る恐るといったふうに既に粘着力を失った封を開ける。
 その便箋は、私の家に送られてきたものと全く同じもので、響くんの開ける姿に前回と似たものを感じた。

「これは……理音、見て」

「ん〜、なるほどこれは」

「姉ちゃんの十八番、シーザー式暗号」

「なにそれ?」

「あいうえお表に書いてあるとおりに全部同じ数ずらすんです」

「ここの1番下の『ふにわる』は、『ひなより』…『陽より』ってことだね」

「なんでそんなの分かるの?」

「まぁ、この手の暗号は何回も解いてきてますから。姉さんの暗号でアルファベットがなく平仮名のみなのはこれしかないんですよ。…このまま解読しましょう」

 こうして4人手分けで解読していく。解いてみると文章が出てきた。

『みんなへ
きゅうあかのめっせーじよんで
          ひなより』

「きゅうあか…旧アカ?」

 響くんが首を傾げる、私も響くんも、旧アカウントと呼べるものは持ち合わせていない。

「あ!?姉さん前スマホ変えたよね?」

 若葉が閃いた。確かにスマホを変えたのと同時にアカウントが変わったから連絡先を交換し直した記憶がある。

「まだ残ってるはず!取ってくるね!」

 双葉はもう見ることは無いが、連絡先を残していたなら送信することは可能だ。陽はそれを利用して送ったのだろう。このメッセージが解読できなければ見ることはないだろうけれど、確実に残る連絡。

 中々の賭けだと思う。これに気づいてもらえる前に双葉が解約していたら詰みだ。

「メッセージ…あった…」

 目を見開いて驚く双葉がメッセージを見せてくれる。

『コレ見てるってことはシーザー解けたってことだよね!おめでとー!ぱちぱち
今これ読んでるメンバーは小学校組だよね!いやぁ1番楽しかった時代だよ…小学生に戻りたい!って何回も思いましたよ…ほんとに…
そんなわけで数字は1!引き続き頑張ってくださーい!』

 相変わらず脳天気なものだ。怒りを通り越して呆れそうな、独特な声色が脳裏で再生されていく。

 陽はわかっているのだろうか。この一つひとつが、確かに響くんの心をすり減らしていくのに。

 酷いやつだよ、全く。

「これで1つ分かりましたね。」

「この調子で分かればいいけどね…」

「…凄い。私たちじゃ全くわかんなかったのに…」

「まぁ、この位はね!褒めてくれてもいいんだよ?」

「…なんかむかつく」

「急に残念な人だよ、理音…」

「え!?」



 3つ目のパスワードは、1。







お久しぶりです。
なんだかんだひと月近く経ってました…すみません…

金と銀を行ったり来たりしているのを何とか金で安定させたいと思うものの文が進まず…

そうそう、このひと月の間に☆が増えたりデイリーランキングが17位になったり色々ありました!ほんとにありがとうございます!
これからも日々頑張っていくつもりですので、お気に入りのチャプターには♡をお願いします!

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