第9話

きゅう
2,844
2018/12/10 13:39
あなたside





グクとの子供。グクと血が繋がった、愛らしい子供が生まれた。名前はジウォン、男の子。出産は決して容易なものではなかったけれど、こんなにかわいい赤ちゃんを見てしまえば頑張って良かったな、って思える。そして、最近何かと手伝ってくれる職場の後輩のテヒョンくん。仕事もできて、気が利いて、おまけに彫刻のような顔をしているから、部署での女子から大人気。そんな彼が、出産時にまで立ち会ってくれた。それからは、よくジウォンの面倒を見てくれるようになった。初めての子育てが1人ですごく不安だったけど、子供が好きなテヒョンくんのお陰で、今は楽しく子育てできている。本来ならばグクもこんな風にしてくれたのかな。3人で笑いあえてたのかな。そんなことを考える。それから、ジウォンはすくすくと成長した。休日は、よくジウォンとテヒョンくんと3人で買い物に行くようになった。そして今日も。「よし、行こっか」デパートに着く。ジウォンの服を買ったり、みんなでアイスを食べたり。楽しくて、すごく温かい時間。そんな時間は、あっという間に過ぎた。「あ、テヒョンくん、今日うちでご飯食べてく?」『え、いいの!?』「うん、いいよ。じゃあ、鍋にしよっか。」やったー!子供のように喜ぶテヒョンくんは、まるでジウォン。なんだか、小さな子供を2人お世話してる気分。沢山の食材が入ったビニール袋を下げて、夜道を歩く。「もう真っ暗だね〜」『ジウォン強いなぁ、こんな暗いのに』「ジウォンくんはえらいもんね?」『そうか〜笑』ほのぼのとしていて、本当に夫婦みたい。ダッダッ…後ろから走ってくる音が聞こえた。特に気にしてはいなかったけれど、急に音が止まって振り返る。人影はあるが暗くてよく見えない。前に向き直ると『……だろ…?』声がした。翌日、ユンギに会った。「わ、ユンギ!元気にしてた?」久しぶりに会えてすごく嬉しいのに、ユンギはそうじゃないみたい。むしろ、目を見開いて軽蔑したような目で見てくる。〈コイツ誰だよ。〉「え?」突然ものすごい低い声で聞いてくるユンギに、思わず退いてしまう。「職場の後輩のテヒョンくんだけど…」この状況でジウォンを抱っこしているテヒョンくんを紹介する。〈ジョングガは?〉グク……?〈ジョングガは、どうなったんだよっ、〉ビクッ、怖いよ、こわいよユンギ……。訳もわからず責められて、体がビクつく。『すみません、誰だか分からないすけど、いきなり怒鳴んないでください。』〈は?〉『〇〇さんは、俺のものになるんで。』「え……、?」ぎゅ、っとテヒョンくんに抱きしめられる。〈あのな、〇〇。グクはお前を……!〉『やめて下さい。先輩、行きましょう』テヒョンくんに腕を引っ張られた瞬間、反対の腕を掴まれる。〈なぁ、聞けって〉『っごめん、もう行くね、』ごめんなさい、ユンギ。もうグクとは結ばれることは出来ない。すごく、大好きだった。だけど、新しい、優しくて温かい愛を知ってしまったから……もう裏切られたくないの。〈おいっ、〇〇っ!〉今まで、たくさんのこと、ありがとう。心でそう呟いて、そっとユンギの手を離した。「テヒョンくん…っ、」『分かりました、』このまま、テヒョンくんとジウォンと何処か遠くへ。たくさんの愛をもらって、幸せに暮らすんだ。








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