チーノside
「僕、いいですか?」
ゾムさんの顔色を伺う。だが、俺は今混乱しとるから、全く心情が読み取れんだ。
心を読み取るのは道化で1番大切なこと。それが今の俺は絶対に分かるわけがない。
「僕は、ほんと最低な事をしました。」
「仲間を虐める。それは人を騙すとかよりもっとずっと酷い事です。」
「…分かってたんですよ、ゾムさんが初めてみんなの前で殴られた時、止めようと思って、声かけようとしたら…」
みんなの目が、ギラギラとゾムさんを威嚇しとって……
「人を騙すヤツなくせに、人に弱いんですよ、俺…」
「周りの目に怯んで、嗚呼、俺も従わなきゃ、合わせなきゃ酷い目に会う、って……」
「最低なヤツです。知ってました…」
「馬鹿みたいにゾムさんを虐めて、状況的に立場の弱い人を虐めて……」
「何が楽しかったんだか……」
涙が目に溜まる。
まともなこと1つも言えん俺を、殴ってやりたい…
「ほんま、すみませんでした、ゾムさん……」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。