オスマンside
「次は俺。」
ゾムが、少し潤した目をこちらに向ける。
「俺は、外交官のくせにて、…」
いやちゃうな。
「仲間の、くせして…ゾムの嘘を見破れやんだ。」
俺はほんま大概な事やってきた。
「それどころか、火傷さしたり、クッキーに毒入れたり、嫌がらせ、した、り……」
あかん。弱いとこが出る。
「ゾムが嫌がって、苦しんでる姿を見て、優越感に浸っとった。」
「クソみたいなやつや。そんなんで、なんで三強なんて呼ばれて、こんなんばかみたいな勲章や。」
心が痛い。でもきっと、いや、絶対、それ以上にゾムはずっと痛かった。
「俺は許されやんでもええ。でも、外交官の護衛を、初めてゾムがしてくれた時、あったやろ?」
ゾムはコクリと頷いてくれた。
「あん時、めっちゃゾムが頼りになった、やから、また頼ってほしかって、嫌がらせしてもうたんもあるんや……」
ああ、ほんまに…
「自分でも意味わからへん…ごめんなぁっ、ゾム…っ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。