第36話

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2018/07/26 14:25
そろそろ行こうか。
美穂
うん、

僕たちは手を繋いだまま、歩き始めた。
美穂
実はね、私。
もう長くないみたいなんだ。
うん、
美穂
だから、この夏も最後だと思う。
最後に涼くんと来れて良かった。
僕も。美穂と来れて良かった。
美穂
本当?
嬉しい、
うん、
美穂
きっと、学校にも行けないだろうな。
そっか、
僕はそっけない返事だとは思いながらも、それ以上は何も言えなかった。
美穂
ねぇ、涼くん。
ん?
美穂
…なんでもないや。
まだずっとこのままでいたい気もするけど、先生も心配するだろうから、帰ろう。
また、どっか行こね。
うん、そうだね。
またどっか行こう。
美穂
約束ね?
うん、約束。

子供の頃のように指切りげんまんをした後、病院へ向かった。


先生に挨拶をして、送り届けた。


先生は、「何もなくて良かった。楽しかったかい?」と優しく言ってくれた。


美穂は、笑顔で、「とても!」と答えた。


僕も、「楽しかったです」と答えて、その日は家に帰った。

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