第28話

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2018/07/26 08:43
その日は、そのまま家に帰った。



次の日学校に行くと、やはり、美穂の姿はなかった。



もう明日から夏休みに入る。



新学期になれば、また学校に来れるのだろうか。



そんな不安が僕の中に渦巻いていた。



学校にいる美穂は本当に楽しそうで…



今の時間を大切に噛み締めているようにも見えた。



放課後、またいつものように病院へ向かった。



少し…足取りが重い。



けど、昨日先生が言ってくれたように、僕にできることをしようと思う。



コンコンー
美穂
はい、
あぁ、涼くん…
昨日はごめんね。
ううん、大丈夫。
美穂は?大丈夫?
美穂
うーん、微妙かな。
よくなってたはずなんだけど。
ちょっと無理しちゃったのかも。
そっか、
じゃあ、無理しないで…って言ってもそれこそ美穂なら無理かもしれないけど。
美穂
確かにね〜
でも…僕は美穂に生きてて欲しいから。
美穂
ふふっ、ありがとう。
でも、千恵さんも言ってたけど。「生まれたらいつかは死ぬんだよ。」私も、涼くんも。
もしかしたら、涼くんは今日の帰りに交通事故とかにあって私より先に死んじゃうかもしれない。
人生なにがあるか分からないからね…
そうだね、
美穂
あ、そうだ。
今日、宿題配るとか言ってなかったっけ?
私やらなくて済むのかな!?
残念、僕が持って来てあげたよ。
美穂
えー!
僕は鞄の中からプレゼントを出す。
美穂
なに!いっぱいじゃん!
うん、僕も思った。
ペラペラと、宿題のプリントをめくる美穂。
美穂
なにこれ、全然わかんない。
そしたら、僕が教えてあげる。
美穂
おぉ、たくましいね!
あ、ならこの作文も書いてくれない?
それは教えることに入んないでしょ、
自分で考えて。
僕にもそれあるんだからー
美穂
ちぇー、私、作文が1番嫌い!
もうなんか語彙力なさすぎて。
……そっか。
美穂
今の間なに!?
今、「たしかに、」って思ったでしょ!?
いや、大丈夫。思ってないよ。
美穂
なにが大丈夫なんだよー!
コンコンー
梨々香さん
仲良しなのはいいけど、あんまり興奮しすぎちゃダメよー?
美穂
ごめんなさーい!
梨々香さん
点滴変えるねー
美穂
お願いします!
梨々香さん
最近また暑いわねー。
暑いと外にも出たくないわー
たしかに、
美穂
私も暑いのは嫌いですね〜
汗っかきなので。
梨々香さん
あ、そういえば。
今度この辺で夏祭りあるの知ってた?
美穂
おぉ、夏の風物詩ですね!
梨々香さん
8月の中旬だったかしら?
よし、出来たわよ。
もし痛くなったりしたらいってね!
美穂
はい、ありがとうございます!
梨々香さん
はーい、
そう言って、病室を出て行った。

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