そしていよいよ、夏祭りの日。
僕は、「今から行くね」とLINEを入れた。
すると、すぐに既読がつき、グッドスタンプが来た。
「あ、でも、廊下のベンチで待ってて!準備できたら出るから!」と続いて来た。
「わかった」と返信をしてスマホをポケットにしまう。
そして僕は、病院行きのバスへ乗り込んだ。
病院に着き、一応来たことを知らせようとドアをノックした。
コンコンー
どんな浴衣を着てくるのだろうかと少し楽しみだった。
10分ほどすると、ガラガラッとドアが勢いよく開いた。
白に、ピンクや赤系の花があしらわれている浴衣だった。
紫色の帯を締め、下駄を履いていた。
そう答えると、中から美穂のお母さんらしき人が出てきた。
僕は、美穂の歩くペースに合わせて歩いていると、前から梨々香さんがやってきた。
それからも、僕達は何人かの人に声をかけられ、見送られた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。