少しづつ暑さが増して来る、7月。
僕は、祖母のお見舞いに行くために病院へ向かっていた。
暑い…
僕は額にかいた汗を手で拭う。
こんなに暑くなるなら半袖のシャツを着てくればよかった。
しかも、制服だから、ズボンあまり通気性が良くない。
一度帰って、着替えればよかった。
まぁ、今更後悔しても遅い。
僕は、頭の中で何度も「暑い、暑い」と呟きながら早く病院に着こうと、足を動かした。
コンコンー
返事をするばぁちゃんの声は、前に来た時よりも声が小さかった。
あまり体調が良くないのかも知れない。
冷蔵庫を開けて中身を見る。
お茶や、オレンジジュースなどの100%ジュース、炭酸飲料などが入っていた。
僕は、その中からソーダを選び、あけた。
プシュッという音と、心電図の音だけが、病室に響く。
そういえば、前来た時は心電図はしていなかったような…
僕は、ソーダを少し飲んだ後、ばぁちゃんに話しかけた。
実は、あまり詳しく病気のことは知らない。
それに、病気なのかどうかも分からない。
ばぁちゃんは、1ヶ月前ほどからこの病院に入院している。
もうすでにじぃちゃんは亡くなっていて、ばぁちゃんは老人ホームに入っていた。
だがある日、体調不良を起こし、病院へ行ったことがきっかけで入院し始めたらしい。
ばぁちゃんは今年で94歳になる。
正直、老衰し始めているのではないかと思っている。
そう尋ねると、ばぁちゃんは微笑んで頷いた。
そう答えながら、近くの引き出しからお財布を出して僕に差し出した。
僕は立ち上がり、病室を出た。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。