第26話

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2018/07/26 07:42
ねぇ、美穂聞いてる?
美穂
イエスッ!!
じゃあ、今僕が言ったこともっかい説明して。
美穂
…えーっと、ここがこうなるから、ここの角が同じで…あれ?ここが違う?
ほらー、聞いてないじゃんか。
美穂
ごめんなさーい!

全然反省してないだろ…


今は、数学の勉強をしている。


学校に行ってはいるものの、ついていけないから僕に教えて欲しいと頼んで来た。


だから教えてあげてるのに…
もう一回言うからよく聞いて。
美穂
うん、わかった。
この時の説明は聞いていたけど、なんだか上の空。と言った感じだっだ。


何かあったとかと思ったけど、美穂が言わないなら聞かないと決めていた。


病気のこともそうだった。


美穂が言いたくないなら、言わなくていい。


そう僕は言ったけど、会った次の日に美穂は教えてくれた。
美穂
ねぇ、聞いてる?
え?
美穂
もー、今度は涼くんが聞いてないじゃんー!
ごめん、ごめん。で、どーした?
美穂
ここはどうなるの?
ここまでは解けたんだ…けどっ……
はぁっ、ちょっと…

美穂が急に胸を押さえ始め、苦しそうに息をした。
美穂!
大丈夫!?

僕は急いでナースコールを押した。
看護師
どうかなさいましたか?
あの!苦しそうにしてるんですけど!
看護師
今行きます!
美穂
ご、ごめんっ…
いいから、僕は大丈夫だから。

ドアが開き、看護師さんが来た。


梨々香さんだった。
梨々香さん
大丈夫ー、ゆっくり息してー。
今先生来るからね。
続いて、先生と看護師さんがもう一人来た。


素早く点滴をしたり、胸の音を聞いたり、僕には突然すぎて何が何だか分からなかった。


その光景を、ただ立ち尽くして見ていることしか……


僕にはできなかった。

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