第16話

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2018/07/26 05:50
今回は…心電図だけじゃなくて、酸素マスクや、様々なチューブにも繋がれていた。


母さんは言葉が出ないというふうに口元を抑える。
久我先生
今はなんとか生きているという状況です。
いつどうなるかわかりません。
ですが…もう長くはないかと。
夜になると、親戚も集まって来た。


叔父さんや叔母さん、いとこ。


いとこはみんな僕よりも年上で、大学生や社会人になっている人もいた。


みんな不安や悲しみを隠しきれない様子で、重い空気が漂う。


そんな中、久我先生がやって来て、もう一度診察をした。


脈を確認したり、反応を確かめたり。


そしてこう言った。
久我先生
脈がかなり弱いです
今日持つかどうかわかりません。

叔母さんは泣き崩れ、母さんは目に涙をたくさん溜めていた。


ほかのいとこや叔父さんも目が潤んでいる。


僕は何も言わずに、美穂の病室へ行った。



コンコンー
美穂、

先ほどと同様、まだ目が赤かった。


一人で泣いていたのかもしれない。
今日持つかどうか分からないって。
美穂
そっか…
美穂もおいで。
美穂
でも…
いいよ、
きっとその方がばぁちゃんも喜ぶ。
最後のお別れ…ちゃんと言って……あげてほしい。

僕は最後の方、涙声になりながら言った。
美穂
わかった。

僕は美穂を連れてばぁちゃんの病室へ戻った。


何人かこちらを見て「なんで?」という風な顔をしたけど、何も言わなかった。




そして…



“その時”は突然やってきた。

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