今回は…心電図だけじゃなくて、酸素マスクや、様々なチューブにも繋がれていた。
母さんは言葉が出ないというふうに口元を抑える。
夜になると、親戚も集まって来た。
叔父さんや叔母さん、いとこ。
いとこはみんな僕よりも年上で、大学生や社会人になっている人もいた。
みんな不安や悲しみを隠しきれない様子で、重い空気が漂う。
そんな中、久我先生がやって来て、もう一度診察をした。
脈を確認したり、反応を確かめたり。
そしてこう言った。
叔母さんは泣き崩れ、母さんは目に涙をたくさん溜めていた。
ほかのいとこや叔父さんも目が潤んでいる。
僕は何も言わずに、美穂の病室へ行った。
コンコンー
先ほどと同様、まだ目が赤かった。
一人で泣いていたのかもしれない。
僕は最後の方、涙声になりながら言った。
僕は美穂を連れてばぁちゃんの病室へ戻った。
何人かこちらを見て「なんで?」という風な顔をしたけど、何も言わなかった。
そして…
“その時”は突然やってきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。