第34話

2つの家系
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2018/10/10 09:43
── 明神像と月。そして、明神像の前側には
霧のようなもの。
夜霧 真
おぉ、同じだね。
明神 柚輝
当たり前だ。
同じ。僕の首筋にも柚輝君と全く同じ刺青が
されている。
いつからかな?多分、1歳とか2歳の頃。
いつもはファンデーションで塗り潰して見え
ないようにしていた。
この刺青は夜霧家と明神家を表す。
明神像が明神家。月が夜、そして、明神像の
前のモヤモヤは霧を表し、夜霧家。
明神家と夜霧家は古くからかなり深い関係に
あった。
そして、さっき柚輝君が言った”仕事”とは、
地球爆発を回避させること。
2つの家系には不思議な力がある。
だから、今日起こるかもしれない地球爆発は
僕達の家系が止めることになっていた。


ファンタジー感があるけど、本当だよ。
夜霧 真
まぁ、着替えてくるよ。
僕はそう言い、地下から出て、2階の部屋に
入る。


引き出しにあるのは巫女さんが着るような袴
とかいろいろ。
夜霧 真
僕の世代でくるとはねぇ…
少し愚痴を漏らしながら、着替えると、棚の
上に置いてあった狐の面を手に取り、地下室
に戻る。
柚輝君も着替え終わっていて、狐のお面を
手にして溜息をついていた。
明神 柚輝
正体バラさないのはこれが一番
分かりにくいからな…
夜霧 真
髪のこと?
明神 柚輝
ああ…
夜霧 真
大丈夫、僕も合わせるから。
明神 柚輝
合わせる?
夜霧 真
うん…。
僕は目を閉じ、赤い月を想像する。
赤い月が出る日は、僕が一番嫌いな日。
月を見るだけで血が反応してしまう。
だから、昔もね…
目を開けると、1年間で伸びた前髪が見える。
それは銀髪で僕の秘密。
夜霧 真
…そろそろ、仲良しで楽しい時
とのお別れが来たんだよ。悪魔
の僕は綺麗な人とは会えるわけ
ない。
僕は少し笑いながら、瞳に触る。
そして、付けっぱなしにしていたコンタクトレンズを取った。
夜霧 真
ね?これなら同じでしょ?
明神 柚輝
ああ…。
柚輝君を見る。出来る限り、聞かないように
意識をすると、運良く心の声は聞こえない。
夜霧 真
じゃ、行こっか。
目指すのは、桜華町の丘の上。
あそこの木が世界の中心になっている。
丘の上で夜霧家と明神家が力を合わせれば、
地球爆発なんてしない。
狐のお面をつけた僕と柚輝君。
僕はもうあの頃に戻れることは出来ない。
友哉達と出会えて、本当に楽しくて楽しくて
しょうがない毎日だった。
みんなのためにもそろそろ突き放さないと…
僕は笑ってるかな?分からないや。
僕達は最短距離で桜華町に着くと、伝統通り
の歌と舞いで止めることが出来た。
柚輝君はお腹がすいたと言って、何処かに
食べに行ってしまう。
僕は特にすることもなく、過去についてを
ぼんやりと考えていた…

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