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65
2021/06/22

第6話

アノニマス・スーサイダー
※今回結構な駄作なんでご注意おなしゃす

※今回表現がまぁまぁグロい(と思う)んでご自衛よろよろちゃんちゃんこ鍋(やかましい)
スマホに流れてきた通知を見て、俺はただのフェイクニュースだろうと思い見過ごした。

何故かって……

逆に、「未知の病原体世界中で急拡大 ゾンビパニック 現実となるか」って速報が来ても、普通信じないでしょ。

そんなことあるわけない、って。

でも、否が応でも俺は信じざるを得ない状況へと追い込まれた。
目黒蓮
目黒蓮
今から帰るから
〇〇
〇〇
ご飯作ってあるから、一緒に食べよーね(´∀`*)
目黒蓮
目黒蓮
すぐ帰るよ
〇〇
〇〇
はあい
可愛らしい絵文字と共に送られてくる、〇〇からのLINE。

ゾンビウイルスの話は話題にはなっていたが、未だ日本に、ましてや東京に入ってきたという事例は見受けられなかった。俺たちにとって、世界の何処かで起こっていることなど所詮他人事。そのいかにも受け身な姿勢が問題視されるべきだったんだ。

電車の椅子に座ってスマホをいじっていると、遠くの方から微かにだが叫び声が聞こえた。

やはり俺と同じく聞こえた人も居た様で、何人かが顔を上げてきょろきょろと辺りを見回している。

どうせ痴漢か何かだろうと思い、俺は再びスマホの画面に視線を戻した。


ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ウ゛………

何の声だ…?

唸り声とも呻き声とも言い難い、嫌に耳に残る声。

窓の外を見た瞬間、文字通り俺は目を見開きスマホを落とした。

「人でない者」「生ける屍」

そう呼ばれた生物たちが、向かいのホームでわらわらと蠢いていたのだ。

血が通っておらず、汚くくすんだ色へと変わり果てた生気の無い肌。噛んだ時の衝撃と溢れんばかりの血でぐちゃぐちゃになった歯と口。そこから漏れる耳障りな呻き声。焦点が合わず開いて白くくぐもった瞳孔に、原型を留めていない「かつて鼻だった」もの。よろよろとおぼつかない千鳥足と、気色の悪い猫背。

先ほどまで普通の生活を送っていたかのような服装が、気味悪さを倍増させていた。

車内では大騒ぎになっているが、どうにも動く事ができない。

それよりも、今家に一人でいる〇〇が心配だった。鍵はかけてるかな。ニュース、チェックしてるかな。俺が居なくなったらどうなるんだろう。

呑気にそんな事を考えている間にも、その気色悪い生き物たちはこちらへと歩み寄って来る。

我に返って辺りを見回すと、既に人の流れは向こうへと移動していた。
目黒蓮
目黒蓮
「お、俺も…行かないと…」
ダンス練習で疲れた脚を必死に動かして階段を駆け上がり、何とか追いついた……と思ったその時。

足に何かが差し込む様な衝撃が走る。恐る恐る足元を見ると、俺のふくらはぎに噛み付いている奴が一体。

仕方がないから階段の上から蹴り飛ばした。

奥の方まで何とか進むも、噛まれたところが痛い。

これ、このまま放っといたらゾンビになってしまうんだろうな。

完全な変貌までは1週間ほどかかるらしいから、その間にできる事をしておかないとまずい。

自分が死ぬかもしれない、いや、絶対に死ぬことになる状況に置かれていても、不思議と俺は冷静だった。自分の命よりも、〇〇を守る事が絶対に優先。

それさえできれば、あとはもうどうでも良い。

もやのかかった思いを抱えながら、なんとか家に辿り着いた。

カバンの中から鍵を取り出しておく。ガチャガチャとドアノブをいじると、やはり鍵は閉まっていた。

ゆっくりと鍵穴に鍵を差し込み、そろりと回す。
目黒蓮
目黒蓮
「ただいま…」
〇〇
〇〇
「蓮くん!お帰りぃっ!」
そう言って駆け寄ってきたのは、他でもなく可愛い可愛い〇〇だった。

〇〇はニュースのことなど、何も知らないようだった。それとなく起こった事を伝えてみると、驚きつつも泣きながら心配してくれる〇〇。

俺たちは適当にくだらない話をしてベッドに潜り、少しいちゃついた後1日を終えた。

忘れていた、というか、言い出せなかった、というか。色々複雑な感情が入り混じって、俺がゾンビに噛まれてしまったということは言い出せなかった。



次の日起きて歯を磨きに行くと、若干肌の血色が悪くなっていることに気がついた。そろそろ動き出さないとまずい。取り返しのつかないことになったらそれこそ終わりだ。

一番考えるべき問題は、〇〇をどうするか。

俺が居なくなったら死ぬかもしれない。信頼できる人間に一緒にいてもらって欲しいところだが、もしそいつもゾンビになったら?〇〇が完全に孤立してしまったら?俺が守るって決めたからには、責任を持って最後までやり遂げなければ。

難しい表情をしていると、ふと腹が鳴った。

ひとまず朝食を食べてからにするか。もうすぐ死ぬんだし、この世の思い出に食べれるものは食べておこう。

冷凍していたご飯を温め、大盛りで卵かけご飯を作る。〇〇が起きてきたら、もう一回別のご飯を温めて作ってやるか。

小さく「いただきます」と言ってから、ご飯に黄金の黄身と真っ黒い醤油がかかった一口を口へ運ぶ。

……どうやら、感染すると味覚・嗅覚障害が出る、という噂は本当のようだ。醤油は若干多く入れたはずなのに、すごく薄く感じる。ましてや、匂いなんて近くに持ってきて鼻の下ギリギリくらいでないと判別できなかった。

それに、空腹感は全く満たされていない。

それどころか、余計にすいたような気がする。これじゃあ1週間経つ前に空腹で餓死するぞ…

そんなことを考えて悶々としていると、向こうの部屋からベッドが軋む音が聞こえてきた。〇〇が起きたらしい。そのまま座って待っていると、扉を開けて〇〇が入ってきた。
目黒蓮
目黒蓮
「………ふぅ…ぅぐっ、、、、」
〇〇の姿が目に入った途端、自分だけでは到底打ち勝てそうにない本能が背中を駆け巡る。抑えた手を離せば、今にも〇〇に飛び掛かって骨までしゃぶり尽くしてしまうかもしれない。
〇〇
〇〇
「蓮くんどしたの…?どっか痛い?」
やめろ…来るな……

〇〇が俺の顔を覗き込み、〇〇の柔らかく優しい匂いが俺の鼻腔に侵入する。コンマ0点何秒のうちに、気づくと俺は〇〇の肩にかぶりついていた。
〇〇
〇〇
「ちょ、ちょっと蓮くん…!?どうしたの!?」
〇〇
〇〇
「蓮くんやめて、痛い…」
〇〇
〇〇
「ごめんなさいごめんなさい、蓮くん離して…痛いよ…………!」
うっすらと〇〇の声が聞こえてはいるものの、俺の本能は留まるところを全く知らない様子だった。そのくせやたらと強力で、この24年間じっくり育て上げてきたはずの理性はどこかへ逃げてしまっている。
〇〇
〇〇
「蓮くん…痛いよ…蓮くん」
縋り付くような〇〇の声と、ボタボタと床に滴り落ちる赤い液体、そして目から溢れる大粒の涙を見て、ようやく俺は自我を取り戻した。
目黒蓮
目黒蓮
「〇…〇〇…〇〇…ごめん…俺、何して…ごめん、なんで、なんでこんな、
嘘だ、ごめん〇〇、嫌だ、俺、なんだよ、なんなんだよこれ………」
俺も訳が分からず錯乱状態に陥ってしまった。

うまく舌が回らず違和感を覚える。口の中に指を入れると、鉄の味がする異物が確認できた。恐る恐るゆっくりと取り出してみると、それは〇〇の肩のあたりの肉片だった。

俺の歯形が付き、血がべっとりと張り付いている。サボり癖のある〇〇が処理をし忘れたであろう産毛が若干残っているのが見えるが、それが妙にリアルで、生々しくて。俺が「〇〇を襲った」と言う事実を突きつけられているような、そんな感じがして。

極め付けに、さっきまであったはずの空腹感はどこかに消えていた。

痛さのあまり床に倒れ込む〇〇。肩のところにぽっかりと空いたへこみは、もう戻ることはない。陶器のようにすべすべで真っ白だった肌も、もう二度と返ってこない。

スマホで急いで調べてひとまずの応急処置をし、血を止める。とりあえずは、これで大丈夫だろう。

そんなことより、俺は自分が「〇〇にかじりついた」という事実が恐ろしくて仕方なかった。「〇〇を守る」と誓ったばかりなのに、まず最初に危害を加えてしまったのは俺だなんて。美しい高級な陶器を叩き壊してしまったような感覚があった。
目黒蓮
目黒蓮
「ごめんな〇〇…本当にごめん……」
年甲斐もなく号泣し、〇〇の肩のあたりをさすりながら話しかける。喋る力も失った〇〇は「気にしないで」とでも言うように優しく微笑を浮かべ、力なくううん、ううんと横に首を振り続けた。

このままではまずい。いつ〇〇の命を危険に晒すか分からない。
今のうちに、出ていこう。

〇〇がウイルスにもう感染してしまったことなんて、すぐ分かるようなことなのに。馬鹿な俺は気が動転して、自分が出て行く事ばかり考えていた。

中くらいのスーツケースにあれやこれやと荷物をまとめていると、よろよろと〇〇が入ってきた。
目黒蓮
目黒蓮
「…〇〇、駄目だよ、寝てなきゃ」
〇〇
〇〇
「蓮くん何してるの?どっか行くの?居なくなっちゃうの………?」
目黒蓮
目黒蓮
「〇〇ダメだよ、傷が開く」
〇〇
〇〇
「やだ、蓮くん一緒にいてよ…」
目黒蓮
目黒蓮
「ダメだって言ってるだろっ」
〇〇
〇〇
「やだ…〇〇蓮くんいないとやだ…一緒にいてよ……」
語尾が震え、綺麗なまつ毛とまつ毛の間からぼたぼたと涙がこぼれ落ちる。今すぐにでも抱きしめてやりたい衝動に駆られるが、それは到底できない相談だった。
目黒蓮
目黒蓮
「〇〇、俺は、あとちょっとで完全にゾンビになるんだよ?
そこ分かってる?それに、朝俺は〇〇のことを食べようとしたんだよ?
俺と一緒にいたら〇〇死んじゃうっt
〇〇
〇〇
「〇〇も感染してるんだから一緒だよ…」
目黒蓮
目黒蓮
「え………?あ、そうか、、たしかに、そうだ…そうだな、、、、、、、、、」
そうか。〇〇の長いこれからの人生を奪ったのは、俺ってことだ。そうだよな。こんな馬鹿な能無しに、〇〇なんて守れるわけないんだよな。「馬鹿なのも良いキャラだ」って何回も言われてきたけど、所詮馬鹿は馬鹿なんだ。

そんなことを考えていたら、目頭はみるみるうちに熱くなっていった。
〇〇
〇〇
「ねぇ、蓮くん…泣かないで……」
目黒蓮
目黒蓮
「ッ……っるせぇ、泣いてねぇ」
〇〇
〇〇
「〇〇蓮くんの事すきだよ、バカだなんて思ってないよ、だから泣かないで……」
「泣いてない」なんて言いつつも、カビ臭くて寝汗の染み付いた汚い畳は、俺の目から溢れるしょっぱい涙で濡らされていた。
〇〇
〇〇
「〇〇嬉しいよ、蓮くんとおそろいだよ…?」
目黒蓮
目黒蓮
「…………」
目黒蓮
目黒蓮
「俺さぁ、〇〇を守るって誓ってたんだよ……なのにさ、
すぐこうやって〇〇の事食おうとしてさ…もう嫌なんだよ、
怖い、自分が怖い………」
子供のようにしゃくり上げながら喋る俺。感涙したのなんて何年ぶりだろうか。えぐえぐ言いながらなんとか喋り切ると、〇〇の細くて柔らかい腕で抱き寄せられる。
目黒蓮
目黒蓮
「ダメだって、〇〇、離して………」
〇〇
〇〇
「嫌だ」
それでも尚俯き泣き続けていると、〇〇がニュースを垂れ流し続けていたテレビに顔を向けた。
〇〇
〇〇
「ねぇ蓮くん、これ……」
テレビ画面から目に飛び込んできたそれは、酷く魅力的に思える。〇〇も同じだったようで、顔を見合わせるとにっこり微笑んだ。



どこに行くかは、もう言わずとも分かっていた。俺たちが出会った、大切な記憶の中心を形作っている思い出の湖。

2人きりでの最後の旅行を楽しみたくて、敢えて俺たちは新幹線も飛行機も使わず、旅行用の列車で行くことにした。

一番端の窓側の席に座ると、〇〇は俺の腕に小さな手を絡めてくる。気づいたら1時間ほど寝てしまっていた。目的地にはまだまだ着かないものの、最後のランデブーを楽しむ時間が少し減った事が少しだけ悲しかった。

2人で売店のお弁当を買い、車内販売のお姉さんからアイスを買って2人で頬張る。こんななんでもない瞬間が永遠に続けば良いのに。どこかで列車が止まってくれはしないものか。2人で居る時間をずっと残しておきたくて、邪魔な腕時計はドブに捨てた。

タイムリミットを数え続ける砂時計を、ハンマーで思い切り叩き壊してやりたかった。
車掌
車掌
「次は〜◇◇〜次は〜◇◇〜」
目黒蓮
目黒蓮
「〇〇、次、降りるよ」
〇〇
〇〇
「うん」
手を繋いで駅に降り立つ。ゆっくりと刹那を噛みしめつつも、俺たちは目的地に向かって歩き始めた。
目黒蓮
目黒蓮
「すみません」
係員
係員
「はい、何でしょう」
目黒蓮
目黒蓮
「ボートの貸し出しお願いします…あ、2時間で」
係員
係員
「はい、2時間ですね…1000円になります」
手漕ぎ式の、木でできたボートを借りる。まずは普通に2人でゆっくりと動き回り、最後の最後のデートを楽しんだ。

2人ともの決意がようやく固まったところで、ボートを岸に寄せる。俺はボートから降り、ずっしりと重たい手ごろな岩をいくつか持ち出した。

苦しまなくて良いように持ってきた睡眠薬を2錠カバンから取り出し、水筒の水で〇〇と自分の口に注ぎ込む。しっかり沈んでくれるよう、ボートにはあらかじめ穴を開けておいた。

最後のこの世での思い出として、〇〇の唇にしっかりとキスを落とし、俺は意識を手放した。






目を開けると、目の前に〇〇の顔があった。息ができない。喋ろうとすると、ガボゴボというくぐもった音がする。俺だけ途中で目が覚めたのか。……それもそうだよな、ウイルスの進行が早いんだから。

いつまでももがこうと勝手に動く自分の体に、不覚にも笑いを溢してしまう。

愛する人を見ながら死ねるなんて、これ以上の幸せがあるだろうか。遠くの水面にうっすらと映った俺の顔は、たしかに幸せそうな笑みを浮かべていた。



ニュースキャスターA
ニュースキャスターA
「続いて臨時ニュースです。ジャニーズグループ、SnowManの
メンバーである目黒蓮さんが20日、亡くなっていたことが分かり
ました。24歳でした。ジャニーズ事務所からは、依然として死因は
明かされていません。」
ニュースキャスターB
ニュースキャスターB
「続いての特集は、最近急激に増加している『心中』です。
悲しいテーマではありますが、この機会ですのでしっかりと
目を向けていきましょう。さっそくですが××さん、今急激に
増えている心中についてはご存知ですか?」
コメンテーター
コメンテーター
「はい、知ってますよ。確か…ゾンビウイルスの
パンデミックが原因だとか」
ニュースキャスターB
ニュースキャスターB
「はい、その通りです」
コメンテーター
コメンテーター
「若いカップルや家族から恒例のご夫婦まで、
決行なさる方は後を経たないそうですね。」
ニュースキャスターB
ニュースキャスターB
「そうなんです。このパンデミックが起こったことにより、
………えー、こちらのフリップを見ていただくと分かると
思うんですが………「感染する前」に、又は「感染したから」
という理由で自死に走る方が多くいます。」
コメンテーター
コメンテーター
「なるほど…心理的な理由でしょうか?」
ニュースキャスターB
ニュースキャスターB
「はい。『自分たちのせいで感染を広げたくない』
という優しい心をお持ちの方々が、心中や自死という形で
命を絶ってしまうんですね。」
コメンテーター
コメンテーター
「……これはなんとも悲しい話ですね。
私たちに何かできることはないんでしょうか…