光とは小学校一緒だし、龍輝とよく一緒にいるから、結構話すことも多かった。中学2年の夏までは…
それからは、あまり話すこともなければ、関わることもない。俺から関わろうとしたこともあった。だが、なぜか光が関わろうとしない。
だから、何を言われるのか正直怖い。
いきなり龍輝の事を聞かれ、驚いた。
少し嬉しそうな声で光は、聞き返した。
光は、そう言ってホッとしていた。
興味本位で聞いてみただけだった。
この質問が、俺の気持ちを気づかせるなんて思いもしなかった。
~放課後~
今日、勇波来るかな?
龍輝が教室を出たあと、俺はο‐×の教室に行った。
勇波が来るまでの時間がやけに長く感じた。
俺は、中学2年の夏、龍輝への気持ちに気づいたとき、勇波への羨ましい気持ちが強くなった。
俺は、確かに龍輝と仲がよく、一緒に遊ぶ事がものすごく多かった。
だが、一緒に遊ぶ時にはほとんど勇波も一緒だった。しかも、龍輝が一緒でもいいか聞いてくる。
今までは、仲良いなぐらいにしか思っていなかったが、気持ちに気づいたときには、ずっと一緒にいるのが羨ましかった。
それからは、遊ぶ時には勇波を断り、俺でも最低だと思うほど関わらないようにしていた。
きっと、勇波も本当は龍輝の事を好きなのかも。
そう思っていた…
だから、今日勇波に聞く。
龍輝の事をどう思っているのかを。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。