テオくんは用事があると言って
スカイハウスを出ていった。
テオくんが居なかったら暇だし、
編集も全部終わってて特にすることもないから
俺も出掛けることにした。
テオくんとすれ違ったらいけないから
テオくんにLINEを入れる。
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じ 『 テオくん、俺も出掛けるから
スカイハウス帰っても誰も居ないかも 』
テ 『 わかった 』
テ 『 ちゃんと鍵持った?気を付けてね 』
じ 『 わかったわかった笑 』
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ほんとテオくん心配性だなぁ。
お母さんみたい。
誰も居ないスカイハウスに
俺の声が響く。
外に出ると暖かい春の空気が肺に流れ込んできた。
行く宛もなくぶらぶらと歩いていると、
雰囲気の良い公園を見つけた。
まさに “ 穴場 ” という感じの公園。
多分テオくんも知らないだろう。
今度テオくんと一緒に来よう。
喜んでくれるかな。
こんなことを思いながら
公園に入る。
入ってすぐに目に入ったのは、
木のベンチ。
結構年季が入っていて、
座ると ギシ と音を立てた。
公園を見渡すと、何人か人が居た。
…本当に雰囲気良いなぁ。
夕方とかに来てもいいかも。
この公園で綺麗な夕日、テオくんと見たいなぁ。
何を考えてても テオくん 。
全部テオくんに繋げちゃう俺って
結構ヤバい奴なんだろうか。
ぼーっとしながら色んな事を考えていると、
ベンチの落書きが目に入った。
そこに見えたのは
___“ テオくん ” “ こなん ” と名前が書かれた
相合傘。
いやいや、そんなはずないでしょ。
二人は幼馴染だし、
小さい時に両想いだったとかだけかもしれない。
頭が大混乱している今、
一番見たくなかった光景が目に入った。
え、、?テオくん、と、こなんちゃん、っ?
いつもなら笑顔でテオくんの方に
駆けていくけど、
俺は逃げた。
付き合ってもないのに、
何嫉妬してんの??俺。
……
スカイハウスについて、
俺が一番に向かったのは
台所。
そして頭では冷静に考えているのに、
身体が言うことを聞いてくれなくて、
俺は包丁を握っていた。
To be continued .
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!