第14話

行ってきますのチュー
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2021/03/29 12:50



   チュンチュン チュンチュン



   小鳥の囀りを聞いて目が覚める。
   といっても、まだ完全に起きれていない。



五 「あなた? 起きて。」



   悟さんが優しい声で起こそうとしてくれる
   が、まだ眠たい私は



私 「んぅ、、、、やぁっ。」



   子どもみたいに嫌だと言って自分の顔を
   悟さんのお腹に擦り付けた。
   すると、悟さんが



五 「もぅ、朝から可愛いことするじゃん。
   でも起きないと駄目だよ。」



   そう言って、私の体を起こしてくれた。



私 「ん、悟さん おはようございます。」



   まだ少し眠い目を擦りながら挨拶をした。



五 「おはよう。 あなた」




   悟さんの声は心地よくて癖になりそうだっ
   た。



五 「朝御飯はもう作ってあるよ。
   僕はそろそろ仕事に行くね。」



   "仕事"と聞いて気がつく、



私 「私も、仕事に行かなきゃ!」



   ハッとして、急いで準備しようとすると
   悟さんが腰に手を周して抱き締めながら



五 「あなたはもう仕事辞めたでしょ?」



   と言われ、先日悟さんが退職届けを
   出したことを思い出す



私 「そうだった。」



   私は、ホッとした。
   遅刻なんてしたら、給料なしの残業させら
   れちゃうよ。



五 「そろそろ行くね。」



   悟さんがそう告げて立った。



私 「わかりました。 行ってらっしゃい。」



   私がそう言うと、フッと微笑んで
   顔を近づけて来て、おでこにキスをした



私 「え?」



   突然のことにビックリして
   顔を赤く染めていると、



五 「行ってきますのチューだよ。
   あなた、良い子で待っててね。」



   頭を軽く撫でてから、玄関に向かい
   私が逃げ出さないようにと鍵を閉めた。



   逃げ出さないのに。
   なんて思っても、愛されているんだなと
   思うようにしている。



私 「(早く帰ってこないかな。)」



   悟さんが出掛けてすぐにそう思ってしまう
   私も、重症だろう。


    

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