第36話

居ない  ※ももさんからのリクエスト
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2021/04/07 14:17



私 「悟さん、、、?」



   静かな部屋で私の声だけが反響する。



   朝起きると悟さんが居なかった。



私 「(もう起きてリビングに居るんだ。)」



   と思って着替えてリビングに行くと
   悟さんは居なかった。



   広い家の中を隅々まで探した。



   でも、



   何処にも居なかった。



   手が冷たくなるのがわかる。



私 「棄てられた?」



   その時、堰を切ったように涙が溢れる。



私 「ヒッグ、、、ヒッグ、、、ヒッグ、、、」



   涙が止まらない。



   何が駄目だったんだろう。



   どうして。



   どうして。



私 「さ、、、と、る、、、さ、、、、ん」



私 「さと、る、、、さ、、ん」



   私は泣きながら悟さんの名前を呼び続けた



   それでも、返事は返ってこない。



   ふと、扉の方を見ると
   鍵がかかっていなかった。



   出ていけ。



   と言うことだろうか。



私 「ヒッグ、、、ちが、、、ぅ、、もん、」



   悟さんはそんなことしない。



   私のこと棄てない。



   そう思っても不安は消えなかった。



   



   外に探しに行こうか。



   もし、出ていったばっかりなら
   追い付けるかもしれない。



   もう一度ちゃんと話したい。



   そう思って、扉をおもいっきり開ける。



   久しぶりに浴びる日の光は
   とても眩しかった。



   でも、それどころでは無かった。



   涙で狭くなっている視界で必死に
   エレベーターを探した。



   すぐに見つかり、
   焦る気持ちを押さえながら
   扉が空くのを待つ。



   ピコーンと、音が鳴って扉が開いた瞬間
   突進するように乗り込むと



   誰かに抱き締められた。



   バニラの甘い香りがして
   私の大好きな人だと気がつく。



   離さないようにギュッと抱き締めると
   抱き締め返してくれた。



私 「さと、、、る、、、さん、、」



   涙声で悟さんの名前を呼んだ。

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