私 「わぁ。 大きい!」
ようやくお店に到着した。
いや、お店と言うよりデパートだった。
五 「食材のコーナーはあっちだね。
でもその前に他のところも見ていく?」
悟さんに、そう提案されて
勢い良く頷く。
私 「はい!」
私たちは手を繋いだまま、
デパートのなかを見てまわった。
私 「あ。」
クレープだ。
久しぶりに食べたいな。
五 「何? クレープ食べたいの?」
いきなりそう聞かれて驚いた
私 「なんでわかるんですか!?」
五 「あなたのことは何でもわかるよ。
じゃあ、並ぼ❗」
悟さんが私の手をひいて列に並ぶ。
五 「何味食べる?」
メニューを見ながら、そう聞かれて
私 「う~ん。どっちにしよう?」
私の中で二択まで来ていた。
苺ミルフィーユかバナナショコラパイの
どっちかで迷っていた。
五 「何で迷ってるの?」
私 「苺ミルフィーユかバナナショコラパイの
2つで迷ってるの。」
でも、ミルフィーユ好きだし
苺ミルフィーユにしようかな。
私 「う~ん。」
私 「苺ミルフィーユにする!」
私がようやく決めた時にレジの前に来た
店員 「ご注文はお決まりですか?」
五 「はい。」
悟さんが注文してくれるみたい。
五 「苺ミルフィーユとバナナショコラパイを
一つずつお願いします。」
私 「えっ?」
それって、私が迷って諦めたやつじゃ
店員 「以上でよろしいですか?」
五 「はい。」
店員 「二点でお会計、950円になります。」
悟さんは、さらっと自分の財布を開いて
私の分まで払ってくれた。
店員 「ちょうどお預かりします。
番号札3番でお呼びしますので少々
お待ちください。」
そういわれ、店内の椅子に座った。
私 「悟さん、もしかして私のために頼んで
くれたんですか?」
これで私の勘違いだったら恥ずかしいけど
五 「ん? そうだよ。」
さも、当たり前かのように答えてくれた。
五 「あなたが
どっちも食べたそうにしてたから、
僕のをもう一個のにすれば半分こできる
でしょ?」
悟さんの優しさに、また涙が出そうだった
私 「ありがとうございます。」
悟さんのような素敵な彼氏が出来て
幸せだな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!