暗闇の中、ひたすら歩き続けた。
最初は、死んでしまったのかと思った。
…でも、違った。
どこか、遠くから私の名前を呼ぶ声がした。
その声を頼りに、声のする方へと歩み続けた。
そして、今。
あと1歩 歩むと光に包まれるような
そんな場所に立っている。
息を整えて、歩もうとした。
…その時。
『 あなたッッ…!』
振り返ると、そこには__
『 兄 …さ……ん………、?』
弥生兄さんと、来兄さんが居た。
『 俺 ら の 分 ま で 、 幸 せ に な っ て く れ 。 』
そうだ、実弥さん。
私の愛した人 __ ,
本当は、大好きな兄さん達と、
もっと一緒に居たい……けれど。
『 『 お う ___ 』 』
そして私は__
光の中へと、歩んで行った。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!