第4話

4話 吉と出るか凶と出るか
翌日のお昼休み──。
あなた

(常葉くん、どうして私を
彼女にするなんて言い出したんだろう)

常葉くんに押されて、
付き合うことになった私。

おかげさまで、
授業にも集中できなかった。

──ブーッ。

カバンの中でスマホが震えた。

確認してみると、
【常葉 紫乃】の名前が表示されていて、
ドキッとしてしまう。

私はなんとなく周囲の視線を気にしながら、
メッセージをチェックする。
常葉 紫乃
常葉 紫乃
【一晩経って忘れてるかも
しれないから、念のため。
俺たちは恋人同士だからな】
あなた

……!

あなた

(わざわざ念を押さなくても!
さすがに衝撃的すぎて忘れないよ!)

スマホを握り締めて、
私はなんとも言えないむず痒さを感じていた。
あなた

(恋人……恋人かあ。
なんか、響きが恥ずかしい)

意識すると、どんどん顔が火照る。
あなた

(でも、いいのかな? 
私、常葉くんのこと好きかどうか、
まだわからないのに……)

スマホ画面を見つめて、
複雑な感情を持て余していると──。
亜子
亜子
えーっ!!
ひょいっと亜子が私の手元を覗き込み、
大声をあげた。
あなた

ちょっ、目立つから静かにして!

私は亜子の口を手で塞ぐ。
紗枝
紗枝
なに騒いでんのよ
紗枝は不思議そうに、
私のスマホを取り上げた。
あなた

ああっ、ちょっと!

あなた

(親しき中にもプライバシーあり!!)

紗枝
紗枝
へえ~、やるじゃん、あなた。
昨日の今日で、
もう彼氏ゲットするなんて
紗枝の顔がニヤニヤしている。

ふたりのうずうずした様子に、
今、物凄くここから逃走したいと思った。
亜子
亜子
親友のあたしたちにぃー
紗枝
紗枝
洗いざらい話しなさい
あなた

(これはもう、腹をくくるしかない)

私は仕方なしに経緯を説明する。
亜子
亜子
彼、イケメンなんでしょ?
超ラッキーじゃん!
あなた

でも、私はこれまで
お客さんとして接してきたんだよ?
好きかどうかもわからないのに、
付き合うなんていいのかなあ……

紗枝
紗枝
向こうから告白してきたんでしょ?
だったらいいのよ。
とりあえず、いい物件は確保しときな
あなた

確保って……言い方! 
しかも私、告白されたんじゃなくて、
俺と付き合えば?って言われた
だけだよ?

亜子
亜子
れっきとした告白でしょ、それ
あなた

好きって言われてないよ?

紗枝
紗枝
今時小学生じゃあるまいし、
好きとか改まって言わないでしょ
あなた

ええっ、そうなの!?

紗枝
紗枝
成り行きでそうなることが
多いんじゃない?
亜子
亜子
確かに。
相手に気があるかどうかは、
雰囲気でわかるしね
紗枝
紗枝
そうそう。いけそうだったら、
あたしたち付き合ってるってことで
いいんだよね?みたいな感じで
亜子
亜子
気づいたらカップル成立、
みたいな?
あなた

(──か、軽っ。そんなにあっさり
付き合えるんだ……)

紗枝
紗枝
晴れてあなたも彼氏ができたわけだし、
今度みんなでトリプルデートしない?
亜子
亜子
わあーっ、楽しそう!
大賛成!
あなた

え……いや、無理だよ!
私たち、昨日付き合い始めた
ばっかだよ? まだふたりで
デートもしてないのに、
ハードル高すぎる!

紗枝
紗枝
初めてだから、いいんじゃない。
親友のあたしたちが、
そばでレクチャーしてあげる
亜子
亜子
大船に乗ったつもりで、
あたしたちに任せなさーい!
私よりもノリノリなふたり。
あなた

(ううっ、不安しかない!)