また、面倒なやつと出会ってしまった………
暑いこの坂で彼女【倉西 朝陽】(くらにし あさひ)に出会ったのだ
げっ……ともいいたくなる
彼女は…幼なじみ…な、はずだ
曖昧なのは、俺はあまり小さい時の記憶がないから
4歳の時に交通事故にあって、少し記憶が飛んでいる
そして、何よりこいつの嫌なところは…
【頭がいい】
ところだ
学校どころか、全国で見ても彼女はトップに近かった
彼女が怪訝そうな目で見てくるのを、視線をずらしてかわす
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「ひとは、どこかに得意とするものがあるらしい」
それは、ほんの少しの些細なことでもだ
4冊目の半分まで目を通して、本をふせた
書庫に入って、4時間が経過した
いつもの薄いほんなら30分くらいで読み終わる
だが、分厚いハードカバーであるこの本達は、そう簡単に読ませてくれない
本好きのためか……
本を1度開くと、最後まで読んでしまう
俺は、極度の本好きなのかもしれない…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!