賢二郎「おい。なんでこっち向かないんだ?」
そう言ってこっちに近づいてくるお兄ちゃん。
私はそれから逃げるように英の後ろに隠れた。
国見「え、あなた…」
あなた「英、助けて。殺されるよ…」
賢二郎「殺さねぇよ。
あなたがLINEをスルーしたから話がしたいだけだ。こっち来い。」
あなた「いや!どうせ白鳥沢に来いとかいうんでしょ!?私は行きたくない!」
そう言って、英のジャージを握る。
国見「あの、なんでそんなにあなたを白鳥沢に入れたいんですか?」
賢二郎「こいつは白鳥沢でバスケをするべきなんだ。お前らは知らないだろ。あなたがバスケでユースに誘われたのを断った事を。」
男バレ「え!?」 じー( ⚭-⚭)
視線痛い…
別に聞かれてないし、言う理由もないもん。
及川「ユースって事は全国トップレベル!?
そんなにバスケ上手かったんだね!」
岩泉「女バスが助っ人に誘う理由がよく分かった。」
賢二郎「あなたは白鳥沢にいるべきなんだ。だから、あなたここへ来い。」
あなた「嫌だって。私は今の生活が好きなの。絶対行かない。」
賢二郎「じゃあ、今日の練習試合で俺達に勝ったら青葉城西にいることを認める。でも、勝てなかったらこっちに来てもらう。いいな?」
あなた「は!?それ卑怯じゃない!?」
賢二郎「帰って来れないからって俺のLINEスルーして青葉城西に入ったやつが言えることか?」
あなた「う……」
賢二郎「じゃあ、そろそろ始まるから行くな。今日の練習試合楽しみにしとくよ。」
お兄ちゃんがそう言って去っていった。
私は俯いてどうしようか考えていた。
国見「あなた、大丈夫。何とかなるよ」
及川「そうそう。約束なんて守る必要もないし、俺らが勝てばいいんだから。」
あなた「は、はい。」
皆なら、大丈夫だよね…
こんなこと気にするより、マネ頑張ろう。
岩泉「大丈夫だ。俺らはお前を白鳥沢にやる気はないからな。大事なマネは必ず守る。」
そう言って、頭を撫でる岩泉さん。
めっちゃかっこよくて頼もしかった。
私は笑って、頷いた。
そして、体育館に集まると
練習試合が始まった。
“お願いしまーす”
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!