第4話

「偽り」
31
2021/01/29 12:48
(疲れた)



自然体で笑っている時もほっぺが痛くなることはあるけれど、それさえ嬉しく感じる。
でも、今は?
この子達と居る時は偽りの笑顔を顔に貼り付けたまま過ごす。みんなといる時は必死で話について行こうとする。

置いていかれないように、少しでもみんなの中に自分が馴染めるようになりたくて...





「バイバーイ」
「またねー」
『バイバイ』




ここまで来ればあとは1人。
ふと空を見上げると、橙色が空をしめつけていた。
それにつられて私の心もしめられる。





今日も疲れた。私、変じゃなかったかな

浮いてなかったかな

みんなのペースについていけてたよね?

そんなことを頭の中で自問自答する。


もう何となくわかってるけど、

この気持ちは、

グループから外れたくないってこと。
見えなくても自然と友達のグループは作られているものだ。

中にはそんなことを気にしなくてもグループの中心にいる人だっている。


私は小中と目立たないタイプだった。

消極的で人見知りで、そんな自分が嫌になる日が沢山あったし、自分とは違う空にいる人が 羨ましかった 。
家に着き、自分の部屋へ行きカーテンを、窓を全開にして肺いっぱいに夕方の少し冷たくなった空気を吸い込む。

空はちょうど茜色に染まりつつあって、眩しい光が私の心を今度は盗んでいく。

『ハァ、、、』
自然体でいられる友達との時間がどれほど幸せだったのか思い知らされた。

それと同時にやっぱり私は変われないのかと悲しくなる。

喉の奥がキュッとして少しするとツーンとしてくる。
気がつけば 太陽 は遠くへ消え、空は紫のグラデーションになっていた。

橙色の空もいいけれど、本当は1分ごとに模様が変わってしまうこの時間が好きだ。

段々と吸い込まれそうな感覚に陥る。
が、
カラスの声で こちら現実 へ戻された。
どこにしまえばいいのか分からない気持ちが溢れてきちゃって心が苦しくなってく。

吐き出したいな。と思って制服のブレザーのポケットからスマホを取り出す。
だが、あと数㎝でスマホの画面に触れるところで指を止めた。

あと数秒で友達に電話がかかるところで指を止めた。
(こんな私じゃダメじゃん   よっわ)
だから、そのまま
スマホは机の上に伏せておいた。

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