「痛ったぁ…」
『......は?』
学校からの下校中、川の土手をチャリで走っていた時だった。喉が渇いたため、端に寄ってリュックからペットボトルを出して3分の1だけ残ったぬるくなった麦茶を飲もうとしたところに、急に1人の女の子が
現れたというか、空から落ちてきたというか。
(どういう状況??こんな漫画みたいな展開ある??)
頭の中はパニック状態だ。
慌てて周りを見渡すも誰もいない。
『.........』
「ちょっと爆発しすぎでしょっ......
って! ええぇっっ!!!!」
『ぎゃぁぁ!!!!』
相手が私に気がついて大声を出した。
そうしたら私の体も反射的に叫んだ。
「びっくりしたぁ... あなた、ここの人?」
『え...ま、まぁ』
(家までまだ少しあるけど...)
私にそう尋ねる彼女は珍しい格好をしていた。
山吹色のような色をした髪は肩上で切りそろえられ、上の服は首を包んでいるがノースリーブだ。下は膝上丈のスカート。そして、宇宙を連想させるような素材だった。それに、ブーツを履いている。
(なんかのアニメに出てきそう...)
すると彼女の青みがかった瞳に捕らえられた。
「ここ、なんて所?」
『よ、横浜の...田舎??』
(一応横浜だけどキラキラした所じゃないよ)
「ヨコハマ...聞いたことない...サターンとはどのくらいある?」
『サターン?サターン...あ、土星??』
「そうだね!土星とも言うね!!」
(この人、急にそんなこと聞いてどうしたの?)
「距離ある?」
『そりゃ、もう...ものすごく......』
「そっか...威力すご」
(意味深なんだけど...)
「あ!私、ネキ!よろしく!」
「ベルソー出身!歳は同じくらいかな?」
『......どこそれ?』
「太陽から離れて土星からももっともっと離れた星!」
『.........ほし?ホシ?...星っ!?』
「...星、だよ?なんか変なこと言った?」
パッパッと汚れを払って立ち上がるネキ。
『~~~~~!?!?!?』
「??? あ!あなたの名前は?」
『あ、え、えっと、 あなた だよ』
「あなた!いいね!」
ニカッと笑うネキは眩しい。
(っていやいや!それどころじゃない!ベルソーってどこだしっ!?星っ!?は!?!?)
(てことはつまり...つまり...!?)
『ネキ、さ。地球人じゃない?』
「うん!違うよ!あなたはヨコハマ人?」
(ガチかっっっ)
『あっ!横浜は地名で...
私はにほ、地球人!!』
「にほ地球人??」
『言い間違え!地球人!!』
「えっ!?!?地球人なの!?
じゃ、ここは地球?水の惑星!?」
『そう言うこと。』
(なんてこった。宇宙人と出会ったよ私。)
(てか宇宙人可愛いな)
もう私の頭はネジが幾つか外れかけている。
「ほぉ~ここが水の惑星か~ あ、ちょっとさ...気晴らしに私とお話してよ」
『...いいよ』
(この後なんも予定ないよね。)
私は隣にいるのは宇宙人だと知った途端、
体が浮遊感に包まれていった。謎だ。
『じゃあさ、そこ降りよっか。』
そう言い川に降りる階段を何段か降りて腰をかけた。遅れてネキも隣に座った。
『質問があります。いいですか?』
「なになに??」
『ネキ、空から落ちてきた?』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!