第2話

Prolog だから僕は手を汚す
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2021/12/04 16:18



生まれた時から運命は決まって居るも同然だった。



生まれた時から誰かに狙われている。



生まれた時から“化物”で、生きているだけで罪。



生まれた時から忌み嫌われる存在で、食物連鎖の頂点とされる人間を喰らう“捕食者”。



それが私達─────────“喰種”。




私達は人しか喰えない偏食でもある。
私達を駆逐する為の組織“CCG”にとって、人を殺せない喰種ですら“化物”である限り駆逐対象なのだ。



人間以外に食べるとするなら共喰い。
私達は人間、そして同種からも日々命を狙われている。



喰種は何故生きているのか。死ねばいいのに。
そんな鋭く冷たい言葉は当たり前の様に口にされる。この世界で喰種は家畜以下で、捕食対象である人間こそが絶対なのだ。




私みたいな人殺しの化物は兎も角、人を殺せない“化物”ですら殺す必要はあるのか。



私達は互いに“化物”なのではないだろうか。



白鳩も人間もムカつく喰種も、さっさとくたばればいい。




こんなクソみたいな世界、滅茶苦茶に“直してやりたい”。



理不尽な死を何度も身近で見て来た。
時には、理不尽な死を与える側に回った。




これ以上汚れない為に闘うのだから、今の“僕”はどれだけ汚れても構わない。




「その為なら、もう……手段は厭わない」

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