カナデが子供になり、先生に事情を話してそのままの姿で授業を受ける。と言っても、子供のカナデは元の時より読み書きが出来ないのでただ見ているだけだが。
授業が次々に終わるが、子供のカナデは大人しいままで特に手間はかからなかった。
そして、昼休みになり食堂へ向かう。カナデは人間飯を見るや否や、眉をひそめた。
オレ様達はカナデの正体を知っているからこそ、どうしてカナデがそんな表情をするのかは察しがつく。
ジャックとラギーがやって来て、デュース達が事情を簡単に説明する。
事情を知るや否や、ラギーは「ちっこいッスね〜」と笑う。一方でジャックは「災難だな……」と呟いた。
ジャックに聞かれ、オレ様達はギクッと一瞬固まるが、エースが「か、カナデもお腹空いてないみたいでさ」とすぐさま笑顔で答えて誤魔化した。
二人が去ると、デュースが「そう言えば次は飛行術の授業だったな。食べ終わったら着替えに行かないと」と呟く。
オレ様達が食事を取っている間、子供カナデは辺りをキョロキョロと見回していた。
エースが聞くと、カナデはギョッとし、何処か怯えた表情を浮かべて首を激しく横に振った。
子供カナデが言うと、デュースとエースは互いの顔を見合わせた。一見、カナデが普通に話している風に聞こえたが、今の言葉は“誰かに教えられた言葉”を覚えて口に出しているようにも聞こえた。
まるで、“これだけは覚えておけ”とでも言うような……。どうやら、エース達も薄々感じてはいるらしい。
昼食を済ませ、皿を片付けてから次の授業の為にデュースとエースは着替えに行く。その間、暇なのでオレ様は子供カナデと先に校庭に出て二人を待つのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。