第15話

vol.13 文句はなしだ
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2022/01/19 00:49
リスニングと言う形で、クルーウェルセンセーが声に出した言葉を紙に書こうとするが、言葉の意味自体理解出来ないものもあれば、言葉を知っていても書くことが困難なものもあり、最終的には不格好なひらがなやカタカナで書ききった。
月峯 奏
月峯 奏
(でもこれを見せんのはちょっと……)
そう思った矢先に当然だが、「見せてみろ」と言われ、ノートを取られる。
案の定、クルーウェルセンセーは怪訝そうな表情を浮かべ、なんとも言えない気持ちで私は顔を逸らした。穴があったら入りたい。
※クルーウェル先生には英語に見えていますが、単語自体や綴りが間違っていたり、とってつけたようなものもあれば、抜けもあり、見た事ないような新しい文字が書かれていたり、字が繋がっていて大文字や小文字が入れ混じっていたり、字がごちゃごちゃしているように見えています。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
……まさかとは思ったが、仔犬。
読み書きが出来ないのか?いや、書ける言葉もあるみたいだが
月峯 奏
月峯 奏
……
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
その沈黙は肯定と受け取ろう。
色々と聞きたいことはあるが……これでは授業に追いつけるかどうか以前の問題だ。生活にも支障が出るだろう。読み書きが不得意だと分かった以上、担任の俺がとことん躾て教え込んでやる
月峯 奏
月峯 奏
なっ……はぁ!?
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
念の為一つ聞いておくが、読み書きが不得意なのは先天的なものか?そうなれば、躾の仕方も変わってくる
月峯 奏
月峯 奏
せ、先天的なもの?あぁ……そういうのでは無いと思うけど。てか、なんでセンセーがわざわざそこまでするんだよ。これは、こっちの問題だし。センセーだって暇なわけじゃないだろ。管轄外なんじゃねぇの?
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
どうやら口の利き方もなっていないようだな。管轄外?まさか。生徒を教育するのが俺の仕事だ。お前の言う通り俺も暇ではないが……よく考えてみろ。お前が分からないままテストで赤点ばかりとれば、どちらにせよ俺が補習で教えることになる。よってこれはお前だけの問題では無い。俺の時間が削られるのを気にするなら、一日も早く多く覚えろ。それがお前の解決すべき問題であり、まず身に付けるべき教養だ。この学校で生活する為の基礎的な術でもある。そうと決まれば放課後は俺の元に来い。空いてる教室で教えてやる。分かったか?
一気に言われ、唖然としていると「分かったなら返事をしろ」と言われて躊躇いながらも「わ、分かったよ」と返事をした。
これでも元の世界じゃあ恐れられてる“化物”だってのに……。いや、それは関係ないか。
月峯 奏
月峯 奏
(よくよく考えれば、身に付けて損は無いし……。基本的なことではあるし……。面倒臭いけどやるしかないのか?でも、センセーがセンセーだからな)
月峯 奏
月峯 奏
そうだ、放課後と言えば……モストロ・ラウンジでバイトしてる日があるんですけど……
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
そうか。なら、特別授業の曜日を決めよう。嫌だからと言って他の予定を入れて逃げようだなんて考えるなよ?もし、そんなことしたら仕置きが待っているからな
月峯 奏
月峯 奏
(仕置きって……。なんか凄く面倒臭そうなことをやらされそうな気がする)
そんなこんなで、クルーウェルセンセーに読み書きがなっていないのがバレ、放課後の特別授業を受けることになった。

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