え……、今?
テヒョン先輩は隣で深いため息をついている
他のお客さんもいるし
この状況はまずい
考えるよりも先に体が動いていた
うぅ……
それを言われると返す言葉がない
イェナにそう言われると
女子たちは頬を膨らませながらスタスタと店の外に出て行ってしまった
私はイェナを見送ってから再びカウンターへ戻った
さっきから訳の分からない事を言って
私の気分を悪くしているこいつに
堪忍袋の緒が切れた
私はそう言い放ってツカツカとジェニの元へ向かった
ジェニは今までの出来事をゆっくりと話始めた
1年前、ジェニはここでバイトを始めた
その1ヶ月後くらいに入ってきたのがテヒョン先輩だった
テヒョン先輩は高校での人気者らしく
毎日のように女子達が店の前で戯れていた
しだいに近所からミックに苦情が入り
しばらくはテヒョン目当てでミックに来る女子は減った
そして、テヒョン自身
女子達がキャーキャー騒いで
毎日自分を見てくることが
すごく嫌だったらしい
店長に注意されてもミックに来るのを続ける女子は
しだいにミックでバイトを始めた
その女子たちはバイト中にテヒョンにぼっこぼこにされて
2週間もたたないうちに辞めてしまった、と
そんなことが3ヶ月ほど続き、ミックの業務にも影響があった
客のアンケートには
「レジの対応が悪い」
「注文したのと違う商品が出てきた事が何度もあった」
など
と、その時
テヒョン先輩がこっちに向かってやってきて
こう言った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。