しばらく1人で待っていたのに誰も帰ってこない
おかしいな
時刻はもうお父さんとお母さんが帰ってくるはずの5時になる
グクのバイトがそんなに長いはずはない
その時
2人が帰ってきた
私はイスから立って玄関に向かって走る
そう言って辺りを見渡すお父さん
グクが帰ってきたのは5時半過ぎだった
心配性なおかーさんがグクの元に駆け寄る
そうなんだ
その時は、とりあえずグクが無事に戻ってきてくれたのでひと安心だと思っていた
夜
お父さんとお母さんが買ってきてくれた夕飯のお弁当を食べてからお風呂に入り
自分の部屋に戻った時には
私は開放感に満ちあふれていた
開いていたスマホの画面を閉じて深い眠りについた
次の日
いつものように2人と学校へ着くと
朝練をしているテニス部の前にたくさんの女子たちが集まって、コートに向かって声援を送っていた
高校生からこの学校に入って来た人は部活動を選べる
私たちは特にやりたい部活もなかったので
中学生の時から帰宅部である
ちなみにグクはバイトをしたいからと部活には入らないらしい
教室で2人としゃべっていたらドンへ先生がやってきてHRを始めた
するとHRの途中でノックの音がした
コンコン
B組の担任の先生、ジュヒョン先生が入ってきた
ジュヒョン先生はとっても美人で優しいので、先生のことが好きな男子もいるという噂がある笑
何やら2人で熱心に話をしていた
しばらくたって
ジュヒョン先生はみんなに軽く頭を下げながら教室を出て行った
花火大会かぁ………
今年も、3人で金魚すくいしたいなぁ……
先生の話も聞かずに、私は吞気にそんなことばかり考えていた
一日の授業が終わり、
私はグクに、今お母さんが買い物に行っていて家にいないことを伝えようとした
返事もせずにそそくさと教室からいなくなってしまう
なんなのよ、あれ
そんなことが3週間ほど続いた
グクとはまともに話せていない
最近帰りがあの時みたいに遅いし
どうしたんだろ、急に
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!