第18話
異変
side⇋あなた
『…そんな感じ。』
軽く、彼の重荷にならない程度に、
事実の4割程度を話した。
だって、ひかるは、まだまだ若くて、
これからもっと輝ける実力を持った子だから。
ただでさえ、
甘えられなくて一人で背負いがちな子だから。
照「……何それ、、」
『…ん、』
照「……姉ちゃんのこと何も分かってねぇくせに、」
『…ごめん、もう忘れてこの話、』
『私は大丈… 「嘘言うなよ、」…』
照「強がってなんになるわけ?」
「強がってもなんの意味もねぇぞ。」
『…ないよ、強がってなんか。』
照「なら、手震えさせるの辞めたら?」
「事実の5割も言ってないくせに。」
“ 弟舐めんなよ、 ” って。
あぁ、私より、全然大人じゃん。
だから、みんなから好かれるんだよね
だから大人じゃない私は好かれないんだね
照「あのさ、姉ちゃん。」
『…ん?』
照「おれ、まだ全然大人じゃないよ。」
『何言って…、』
この男、いきなり一体何を話すつもりなのか。
照「まだまだだよ俺。成人はしたけど。」
「デビューまでは正直まだまだだし。」
「チャンスいつどこで掴めるかわかんねーし。」
「でも姉ちゃんは、すっごいかっこいいよ。」
「俺男だけど、姉ちゃんに憧れてる。」
初耳。照がまさかそんな事を思ってるだなんて。
照「自分持っててさ、女なのに大黒柱みたいで。」
「演技も歌もできて。」
「俺、ほんとに姉ちゃんすごいと思う。」
久しぶりに聞いた、私を肯定する言葉。
……そうだよね、何してんだ私。
なんでこんな事に、弱くなってんだ、私。
照「俺、いっつも姉ちゃんが憧れだよ。昔から。」
「なんでもこなせて、全てを極めてる。」
“ まぁ、ちょっと性格に難あるけどな。 ” だって。
『その言葉いらない。余計。あほ。』
照「ふは、ごめんごめん、笑」
『……へへ、笑』
照「ほら、笑えた。やっと。それでいいよ。」
「なんでも背負い込みすぎんな?」
「しんどくなるよ。」
『……ありがとう、ひー。』
私の知らないところで、弟はすっかり大人になってた。
貴方が大人じゃないと思ってても、
少なからず私は思ってる。
照「………、んー、// その呼び方もうやめて。」
『えー?なんでよ。笑』
照「何年前の呼び方だよ。それ。」
『いーじゃん、気分気分。』
照「ムカつくんだけど。笑」
結局そのまま、私は寝てしまった。
朝起きたら、もうひかるは居なくて、
代わりに
私と照が大好きな、野菜炒めがあった。
“ 今日も頑張れ ” っていうメッセージと共に。
異変 fin.