妹「・・・私、お腹減ってないからいいよ・・・」
母「え?」
妹「ごめん・・・」
妹は二階に上がりました。
母「妹・・・・ちゃん。」
流石の母でも、こればかりには対応しきることが出来ませんでした。
母「・・・どうすれば・・・いいんだろう・・・お兄さん・・・」
母は、座り込みました。
母「お父さん・・・お兄さん・・・」
ガチャッ
食器が何かに当たった音がしました。
母「・・・・?」
母は、恐る恐る音のしたキッチンの方へ歩みよりました。
しかし、誰もいませんでした。
母「・・・?」
冷蔵庫が空いているのに気がつきました。
母は、中を覗きました。
母「え・・・?」
ハンバーグ、シチュー、それによく家族で食べたケーキが入っていました。
母「なんで・・!?」
ハンバーグとシチューはまだ暖かいままです。
病院
キモオタは、一人病室で窓から外を見ていました。
キモオタ(・・・)
夕日は沈み、夜になっていました。
キモオタ「・・・二人とも元気かな」
キモオタが、そう言った時
死神「あの女のいうことも・・・あながち間違いではない。」
聞き慣れた声が聞こえました。
キモオタ「何で・・・!?」
死神が、キモオタのベッドの正面に座っていたからです。
どこから持ってきたのか、古風な椅子でした。
死神「だが、決して君自身ではない。私は私だ。」
キモオタ「・・・部屋は俺の精神・・・」
死神「正確には・・・心だ。君の心は悩みの中を渦巻く前は何もかも逃げ出したい欲望に駆られていた。だから・・真っ白だ。」
死神「だが、君は今まで逃げてきたものに立ち向かう覚悟をした。」
死神「君の今までの秩序が崩壊したということだ。」
キモオタ「・・・」
死神「前にいったな。人間は脆いと。」
死神はたちあがり、窓辺まで歩きました。
死神「君は、死というものを近くに感じて考え方を変えた。死を目前にすると人は変わる。だから・・脆いのだ。」
キモオタは、何も言いませんでした。
死神「担当する者の死が近づくとこうして、君の可視範囲に出てくることができる。」
キモオタ「・・・僕は・・・もう・・・」
死神「そう。一週間後に・・・君は死ぬ。」
死神は遠い目をしました。
キモオタ「辛くないのか・・・?」
死神「おいおい、質問はなしと言っただろう。」
キモオタ「いいじゃないか・・・もうあと一週間だけの命だ。」
死神「・・・我々は・・・死神だ。それが存在する全て。私の選択は、死を司ることだ。」
キモオタ「選択か・・・。」
死神「・・・」
キモオタ「僕は・・・もう一つしかない。」
キモオタ「
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。