第47話

二話 朝の騒ぎ 学園長視点
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2023/03/12 17:18
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
(はぁ……全く、鏡の間に勝手に入っただけでなく、“闇の鏡”を無断で使用するなんて)
廊下を歩き、溜息をつく。
夜明け頃、鍵が壊された鏡の間の事も心配で私は早起きしていたが、鏡の間からあなたさんと誰かの話し声が聞こえ、中へ入った時にはもう姿は無かった。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
(あなたさんの他に聞こえた声は一体誰の……。やはり、別の魔導士が来ていたのでしょうか?それも鏡の間の鍵を壊した犯人が。あなたさんとは知り合いなのでしょうかね?)
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
グリムくんが慌てた様子でメモをくわえながら私とクルーウェル先生の元にやって来るので、説明するのに疲れました……
あなたさんがメモに書き残したのは謝罪と“元いた場所に帰る”といったニュアンスの言葉。
本当は帰っていないと私だけは知っているが、本人が帰ったことにするのであれば、私も一応話を合わせた方が良いだろうと考え、適当に嘘をついた。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
(あなたさん曰く、グリムくんとクルーウェル先生はあなたさんが魔導士だとは知らないが、別世界から来たことは知っている。だから、あなたさんが何も言わずに去った理由として“実は夜明け頃、異世界と闇の鏡が繋がりまして、直ぐにスマホであなたさんを呼んだんですが、異世界と繋がっている時間が短く、そのまま行ってしまわれて……”と説明しましたが……嘘だってバレてたりはしませんよね?グリムくんには少し可哀想なことをしてしまいましたが……)
そのまま歩いていると、「学園長ー!」と誰かに呼ばれ、顔を上げる。
走って来たのは、一年生数人。
グリムくんにスペードくん、トラッポラくん。
そして、フェルミエくんにハウルくん、ジグボルトくん。
何事かと思い足を止めると、スペードくんが私の前に立って口を開く。
デュース・スペード
デュース・スペード
突然すみません。あなたの事なんですけど……あなたが闇の鏡を使って元居た場所に帰ったって本当ですか?
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
え、えぇ。ですが、何故私にその話を?
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
クルーウェル先生に聞いたら詳しいことは知らないみたいで、学園長に聞けって言われたんすよ。グリムはあなたが書き残したメモしか持ってないみたいだし
トラッポラくんから視線をフェルミエくん達に向けると、フェルミエくん達は何かを察したのか「ぼ、僕達はデュースくん達から話を聞いて……気になっちゃって、つい……」と自分達がトラッポラくん達と一緒に来た理由を話す。
セベク・ジグボルト
セベク・ジグボルト
マレウス様は昨晩、あの人間とまた本の話しをするのだと楽しげに話していた。その約束を破るなど許せん!連れ戻す!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
(……この短い期間で、あなたさんは色んな人と仲良くなったんですね)

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