廊下を歩き、溜息をつく。
夜明け頃、鍵が壊された鏡の間の事も心配で私は早起きしていたが、鏡の間からあなたさんと誰かの話し声が聞こえ、中へ入った時にはもう姿は無かった。
あなたさんがメモに書き残したのは謝罪と“元いた場所に帰る”といったニュアンスの言葉。
本当は帰っていないと私だけは知っているが、本人が帰ったことにするのであれば、私も一応話を合わせた方が良いだろうと考え、適当に嘘をついた。
そのまま歩いていると、「学園長ー!」と誰かに呼ばれ、顔を上げる。
走って来たのは、一年生数人。
グリムくんにスペードくん、トラッポラくん。
そして、フェルミエくんにハウルくん、ジグボルトくん。
何事かと思い足を止めると、スペードくんが私の前に立って口を開く。
トラッポラくんから視線をフェルミエくん達に向けると、フェルミエくん達は何かを察したのか「ぼ、僕達はデュースくん達から話を聞いて……気になっちゃって、つい……」と自分達がトラッポラくん達と一緒に来た理由を話す。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。