第48話

三話 怪しさ ジャック視点
629
2023/03/12 17:22
学園長から学校を去る際のあなたの様子などを教えてもらったが、あなたが何処から来て何処へ帰ってしまったのかははぐらかされてしまった。
授業が始まるから俺達は仕方なく各教室に戻ったものの、腑に落ちない。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
(近頃は変な事が起きるな……)
まずは突然現れた記憶が半分無いあなた。
グリム曰く、アイツはよく一人で学校内や学校周辺をふらついていたと言う。
そして、あなたとグリムが何故か怪我だらけで保健室に運ばれた上、体調不良者の続出。とは言っても、ほとんどの生徒が「だりー」とか「なんかやる気でねぇわ」と言ってるだけで、違和感に気付いてないのが大半だろうとリドル先輩が言っていた。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
(あとここ最近で起きたことと言えば、賢者の島での物騒な事件ならニュースでやってたな。賊による騒動と魔法士拉致事件だっけか?それ以来、他の場所でもちらほらと似た事件が起きてるっぽいし。犯人はまだ捕まってないどころか、何者かも分かってないみたいだし)
考え事をしている間に授業が終わり、エペルが浮かない顔で教科書をしまっていた。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
ったく。んな顔すんなよ
エペル・フェルミエ
エペル・フェルミエ
うん、ごめん。でも、あなたサン何処に帰ったんだろ。学園長は“凄く遠い場所”って曖昧にしか答えなかったし……
仕方なかったとはいえモヤモヤするなぁ
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
でもちょっとおかしくねぇか?
エペル・フェルミエ
エペル・フェルミエ
え?
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
エース達から聞いた話だと、前日あなたとグリムが保健室でクルーウェル先生と何か話してて、グリムがその内容を言いふらさないよう口止めされていた。
んで、エースはあなたの記憶が戻ったことについて話してたんじゃないかつってたろ?
エペル・フェルミエ
エペル・フェルミエ
そうだね。わざわざ隠す内容か?ってエースクンが文句言ってたけど……それをクルーウェル先生に伝えたら、“人には触れられたくない秘密があるものだ。これ以上、無闇矢鱈にあなたについて詮索するな。昨日の話については言えないが、あなたの去り際について気になるなら、俺ではなく立ち会った学園長に聞け”って言われたんだよね
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
あぁ。らしいな。でもよ、自分が何処から来たのか思い出したんなら、学園長に頼んで闇の鏡で何時でも帰れたはずだ。けど、学園長は一般の人が知らないような、凄く遠い場所からあなたが来たと言ってた。それも、闇の鏡とその場所が繋がるのに“時間制限”があったから、あなたは急に帰ることになったとか……。その時点で大分怪しくねぇか?問いただす前に学園長には逃げられちまったが
エペル・フェルミエ
エペル・フェルミエ
あなたサンが他の国とは違う、秘密にするほど人に言えない場所から来たってことならクルーウェル先生の話とも繋がるかも……
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
つか、あなたって学園長からスマホ渡されてたよな?エース達から連絡とれねぇのか?
エペル・フェルミエ
エペル・フェルミエ
と言うか、連絡先交換し忘れてたみたい。グリムクンから聞いたけど、あなたサン、学園長からスマホ渡された時初めて見るかのように扱い方分かって無かったんだって。だから、あまり使って無かったとか。学園長から連絡が来た時のみ使用してらしいよ
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
おいおい……。スマホ持ってる意味……。
使いこなしてたらメールや電話で色々伝えられたのにな
エペル・フェルミエ
エペル・フェルミエ
言うて学園長から連絡来ることさえあまり無かったみたいだし、スマホの存在忘れてたんじゃないかな?
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
俺が言うのもなんだけど、アイツ現代の若者にしちゃあ何処かズレてたよな。スマホの扱い方が分からないのもそうだが、イデア先輩がタブレット越しに話してた時も、珍しそうにタブレット見てたし……マジカルペンの存在も初めて知ったかのような様子だったな。最初は記憶が半分無いせいかと思ってたが……どうなんだろうな
そんな話をしていると、エペルは「ボクとしては、あのマレウスサンと何時の間にか親しげになってたのはびっくりした、かな」と苦笑いする。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
セベクが言ってた話か……。情けねぇ話だが、マレウス先輩を怖がる生徒は結構いるからな。あなたはマレウス先輩の素性を知ってても特に怖がってなかったんだろ?デュース達が言うには
俺が言うと、エペルは「そうみたいだね。ある意味肝が据わってる」と呟く。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
と言うより、無知なのか何なのか……。まぁ、気になる点は沢山あるけど、居なくなっちまった後につべこべ言ったって仕方ねぇ。その内、またどっかで会えるかもしんねぇし
とは言ってみるが、本当にその日は来るのか。
群れるのは嫌いだが、こんな謎だらけの、後味の悪い別れ方があるだろうか。
グリムは「あなたが居なくなっても別に平気なんだゾ!」と口では強がっていたが、俺達にも分かる程落ち込んでいた。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
(それはそれで意外だったけどな)
たった数週間とはいえ、あなたは直ぐにナイトレイブンカレッジに馴染み、何時の間にか寮長クラスとまで関わるようになっていた。
決して目立つ訳でも、口が上手い訳でも無いのに、大半の奴がアイツと知らない内に自然と話すようになっていたのだ。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
(けどアイツ、記憶がないせいもあってかあまり自分の話はしてなかったな。それはともかく、もし会えたら一言文句言ってやる)

プリ小説オーディオドラマ