学園長から学校を去る際のあなたの様子などを教えてもらったが、あなたが何処から来て何処へ帰ってしまったのかははぐらかされてしまった。
授業が始まるから俺達は仕方なく各教室に戻ったものの、腑に落ちない。
まずは突然現れた記憶が半分無いあなた。
グリム曰く、アイツはよく一人で学校内や学校周辺をふらついていたと言う。
そして、あなたとグリムが何故か怪我だらけで保健室に運ばれた上、体調不良者の続出。とは言っても、ほとんどの生徒が「だりー」とか「なんかやる気でねぇわ」と言ってるだけで、違和感に気付いてないのが大半だろうとリドル先輩が言っていた。
考え事をしている間に授業が終わり、エペルが浮かない顔で教科書をしまっていた。
そんな話をしていると、エペルは「ボクとしては、あのマレウスサンと何時の間にか親しげになってたのはびっくりした、かな」と苦笑いする。
俺が言うと、エペルは「そうみたいだね。ある意味肝が据わってる」と呟く。
とは言ってみるが、本当にその日は来るのか。
群れるのは嫌いだが、こんな謎だらけの、後味の悪い別れ方があるだろうか。
グリムは「あなたが居なくなっても別に平気なんだゾ!」と口では強がっていたが、俺達にも分かる程落ち込んでいた。
たった数週間とはいえ、あなたは直ぐにナイトレイブンカレッジに馴染み、何時の間にか寮長クラスとまで関わるようになっていた。
決して目立つ訳でも、口が上手い訳でも無いのに、大半の奴がアイツと知らない内に自然と話すようになっていたのだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!