天の声
その日は満月だった。
雲ひとつない満月。
そんな山道をひとりの少女が走っていた。
歳の頃は17.8歳。腰まである長い黒髪に
制服と思われるブレザーにスカート。
しかし、少女は疲弊しきっていた。
少女はただ走っていたのではない。
彼女は追われていた。
異形の鬼に。
まるで獲物を追い詰める肉食獣のように。
都希
きゃあっ!!
天の声
とうとう少女は足がもつれて転んでしまった。
鬼
「さあ、鬼ごっこはもう終わりだ。
こんな夜に女ひとりで出歩いているなんて
鬼に食ってくれと
言ってるようなもんだ。
おとなしく俺に食われろ」
都希
「食われろって、悪食ですね!
人間食べたって美味しくないですよ!!」
鬼
「それは残念だったな。鬼にとって人間は
食えば食うほど強くなる、栄養源なんだよ。
特に若い女と子供はな」
天の声
少女は気が強いのだろう。
鬼に食ってかかる。
でも恐怖で体はガタガタと震えている。
天の声
転んだ状態の彼女に鬼は襲いかかった。
鋭い爪が袈裟がけに服を引き裂く。
都希
きゃあああっ!!
都希
(いや、私、ここで死んじゃうの?
学校から家に帰ってた途中でいきなり知らない
場所に飛ばされて……
ここがまだどこだかわからないのに……
そんなの嫌っ!!)
天の声
少女はぎゅっと目を閉じた。
天の声
でも次の斬撃は来なかった。
おそるおそる目を開けると
目の前には白い生地がはためいていた。
生地の端は炎のような赤い模様。
そして視線を上に上げると
癖のある金髪。
その端は赤く染まっていた。
天の声
彼女がそれが男の人の背中だと
認識したのはその人の声を聞いた時だった。
天の声
続きます。
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第2話 一目惚れじゃなくて
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