__高校三年秋。
晴翔と付き合って2年が経った
恥ずかしくてよそよそしく接していた付き合いたての頃。
お互いの見えていなかった所が見え始め喧嘩が多かった頃。
一緒に居るのが当たり前でお互いが居心地のいい場所へと変わっていった時。
沢山の時間を経て今の私たちがある
けれど、そんな居心地のいい場所が無くなるんじゃないかと最近思うようになった。
__通い慣れた晴翔の部屋で勉強をしている
最近当たり前になってしまった長い沈黙
そんな中、
晴翔が勉強する手を止めて言った
これで何回目だろう
この言葉には聞き飽きた
そして私の答えもいつも同じで
晴翔の言葉で
今まで溜め込んでいたものが一気にに溢れ出た
(バタンッッ
荷物をまとめて凄い勢いで部屋を出る
ここまで感情的になったのは初めてで、
晴翔も私に何も言えずにいた
__帰り道、自分でも驚くほど大きな声を出し
てしまった事に気づく
勉強してもしても変わらない判定にどんどん追い詰められていて、
ここまで勉強に付き合ってきてくれた一番当たってはいけない人に当たってしまった
いよいよ本当に晴翔の隣にいられなくなってしまうのかなと思った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!